健康ア・ラ・カルト

【14)骨・関節・筋肉】  7)立ち居でひざの骨が鳴る

質問

50代半ばの女性です。1年くらい前より膝(ひざ)を曲げたり伸ばしたりすると、ペキペキという音がします。病院でレントゲンを撮ってもらったら膝の骨に小さくとがった部分があるから、膝のまわりの筋肉を鍛えるようにとのことでしたが、だんだん音が激しくなってきました。現在痛みはないのですが、これ以上悪くならないためにも、音のするメカニズムと治療法を教えて下さい。

回答

◎半月損傷・変形性膝関節症

中年期以降の方が膝の曲げ伸ばしで音がする場合、その多くは「半月損傷」もしくは「変形性膝関節症」という病気が原因として考えられます。

半月損傷は、半月という大腿(だいたい)骨と脛(けい)骨の間にはさまった硬い軟骨が壊れる病気で、壊れた部分が膝の曲げ伸ばしの際に骨にひっかかって音を発生するものです(図左側)。治療を必要としないこともありますが、長い間放置しておきますと、骨の表面を覆っているやわらかい軟骨を傷つけ、変形性膝関節症になる可能性もあります。ひっかかって強い痛みが出たり、関節の動きが制限される場合には、整形外科医の治療を受ける必要があります。

変形性膝関節症は、50~60歳の肥満気味の女の人に起こりやすい病気で、骨の表面を覆っている軟骨がすり減り、骨の端が「とげ」のようにとがった状態になり、関節にいろいろな不具合を引き起こします(図右側)。この病気では、音はすり減った軟骨がすれ合って出ますが、主な症状は痛みです。初期には立ち上がる時の痛み、歩き始めの痛みなどの軽い痛みで、病気が進行すると痛みの程度が増します。この病気の治療の基本は、膝へかかる負担(重み)を減らし、膝のまわりの筋肉の力を回復して病気の進行を抑えることです。痛みなどの不具合が著しい場合には、薬や装具、関節の注射などの治療を受ける必要があります。

あなたの膝の音の原因として可能性の高い二つの病気について説明しましたが、ほかにも音を発生する病気がありますので、まず整形外科医に音の原因をきちんと説明してもらうことが大切です。その上で今後の治療法をご相談されるのが良いと思います。

(鳥取大学医学部整形外科・豊島良太)