大腸にできるポリープは、たとえば胃のポリープに比べてがんになりやすいと聞いていますが、本当でしょうか。
◎がん化は大腸に多い
大腸にできるポリープは、大腸がん取り扱い規約によって腺腫(せんしゅ)、過形成結節、化生性ポリープの三つに分けられており、その多くは腺腫です。
一方、胃ポリープには、過形成ポリープと腺腫がありますが、過形成ポリープが大部分を占めています。
胃、大腸のいずれにおいても、腺腫は前がん病変(がんの前の状態)と考えられています。事実、腺腫のなかのがん(腺腫のなかに一部がんがある)として、そのがん化もしばしば認められているところです。また、病理組織学的に腺腫とがんの境界は不明瞭です。
ところが大腸の過形成結節、化生性ポリープ、胃の過形成ポリープががん化することは非常にまれです。従って、ポリープのがん化が大腸に多く、胃に少ないのは当然のことであります。
(鳥取県立中央病院院長・加藤一吉)