健康ア・ラ・カルト

【7)腎臓と尿路】  5)おなかの手術後尿失禁

質問

以前、おなかの手術をしました。その後、時々、尿失禁がありますが、週1回とか月に1回とか、どのくらいの頻度で失禁があれば病的なのでしょうか。

回答

◎神経因性膀胱

おなかの手術(子宮や腸の手術)をした後に、いろいろな排尿の異常がおこることがあります。このような場合、ご質問の方のようにおしっこが漏れてしまう尿失禁のほかに、症状として、おしっこが出にくくなる場合や、おしっこがたまった感じが鈍くなったりする場合などがあります。

この原因は、手術によって、主にぼうこうのまわりの神経の働きが鈍くなることによるものです。このような症状がおこるのは、早い人は手術後すぐですが、遅い人は何年もたってから生じる場合もあります。尿失禁の程度もまちまちで、一概に週に何回とか月に何回ということはありません。

このように、おなかの手術をした後などにおこる排尿障害を伴う病気を、神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう、神経の働きの障害が原因でおこるぼうこう機能障害)と言いますが、おそろしいのは、このような障害がある場合、おしっこを生成する腎臓(じんぞう)の働きが、しらずしらずのうちに悪くなってしまっていることがあることです。放っておくと、尿毒症となったりする場合もあります。

おしっこが漏れたり、出にくくなるだけで、痛みなどの重篤な症状がありませんから、ついつい専門医に相談することなく、放置されている場合があります。とにかく、一度は専門医に相談して、きちんとした診断を受けることをお勧めします。

(鳥取県立中央病院泌尿器科・中村勇夫)