健康ア・ラ・カルト

【3)心臓と血管】  4)下肢静脈瘤の原因と治療

質問

28歳女性。中学ごろから下肢の静脈が目立っていました。最近、下腿部や膝(ひざ)関節の裏などに小さな静脈瘤(りゅう)が出来、ジクジクと痛み、熱感もあります。立ち仕事なので下腿にサポーターをしてハイソックスを履いています。今後の結婚妊娠に伴う増悪が心配です。どの病院へ行けば良いのか、治療法など教えて下さい。

回答

◎硬化療法

下肢の静脈には筋肉に囲まれて走行する深部静脈系と皮下を走行する表在静脈系、そしてその二系統をつなぐ交通枝があります。静脈血は足先から心臓へ、表在系から交通枝を経て深部系へと流れています。この流れは静脈弁により反対方向へは流れないようになっています。

この表在と交通枝の静脈弁が閉鎖不全を起こすと、血液は逆流し、皮下の静脈が鬱滞(うったい)し、拡張蛇行し下肢静脈瘤になります。女性の場合は妊娠を契機に発症増悪することが多いです。明らかな原因のない一次性静脈瘤と深部静脈血栓症に続発する二次性静脈瘤に分類され、検査は比較的簡単な視触診と超音波検査、静脈造影などが行われます。保存的治療として専用のストッキングがあります。一次性静脈瘤は以前は、入院して機能不全を起こした表在静脈の抜去手術をしていましたが、最近は拡大して目立つ静脈に硬化剤を注射して、閉塞(へいそく)する静脈硬化療法が一般的になっています。とても低侵襲で外来通院で可能です。

しかし、二次性静脈瘤、先天的静脈異常に伴う静脈瘤では慎重な適応が必要となりますので血管外科のある施設でご相談下さい。

(鳥取県立中央病院心臓血管呼吸器外科・谷口 巌)