健康ア・ラ・カルト

【10)アレルギー疾患 等】  3)膠原病

質問

50代の女性です。1年くらい前から足のはれ、筋肉痛、関節の痛みと共に足に赤い斑点(はんてん)が出て内科の診察を受けた結果、抗体検査で膠原(こうげん)病と診断されました。抗体数値は最高が640で2カ月ごとの検査のたびに上下しています。

現在は痛み止めの薬を1日3回服用しています。筋肉痛と関節の痛みは現在もあります。膠原病と、日常生活で注意すべき事について教えて下さい。

回答

◎肌の露出を少なく

膠原病とは、自己組織(自分の細胞など)に対する過剰な免疫反応により多彩な症状を呈する疾患群をいいます。病気の原因として、遺伝、環境、免疫異常など複数の要因が関与していると推定されていますが、はっきりと分かっていないのが現状です。

人間の体は、本来自分の組織に反応するような抗体(自己抗体と呼びます)はつくらないようになっています。しかし何らかの原因で免疫のネットワークが乱れると、自己抗体が産生され、図のようにこの自己抗体と白血球(主にリンパ球)、補体などが一緒になって全身のさまざまな組織を傷害し、ご質問にあるような皮診(しん)、筋肉痛、関節痛、発熱などの症状を引き起こします。

抗体検査といわれるのは、おそらく自己抗体の検査のことだと思います。この検査は膠原病の診断にあたり重要な意味を持っていますが、その数値は、必ずしも病状の程度(重症度)を示すものではありません。それよりも、実際の症状の強さや炎症反応(血沈、CRPなどの検査)のほうが病気の活動性の指標になることがあります。

膠原病は原因が不明であるため、有効な予防の手だてはありません。日常生活での注意事項も一般的なことであり、バランスのとれた栄養、十分な睡眠をとり、症状にあわせて無理をしないことなどでしょう。ただ皮膚の病変は、紫外線にあたることによって悪化する傾向があります。これから日差しが強くなりますので、外出の際にはなるべく肌の露出を少なくし、帽子をかぶられたほうがよいでしょう。

(鳥取県立中央病院内科・田中孝幸)