健康ア・ラ・カルト

【8)内分泌疾患】  3)糖尿病とヘモグロビンA1C値

質問

現在、食事療法、運動療法で治療をうけている糖尿病患者です。空腹時血糖値が150~160mg/dlで、ヘモグロビンA1Cは5.7~6.2%です。ヘモグロビンA1Cが正常であれば、空腹時血糖値が高くても心配ないものでしょうか。

回答

◎6%台なら合併症起きぬ

ご質問のあなたにはよく分かっていると思われますが、一般的な読者のためにごく簡単にヘモグロビンA1C値のあらわす意味を述べておきます。

ヘモグロビンA1Cは、赤血球にふくまれるヘモグロビン(血色素)に直鎖型のブドウ糖がくっついたもので、血液中にふくまれるブドウ糖の濃度が高ければ高いだけ、くっつく割合がふえてきます。ヘモグロビンA1Cは%(パーセント)であらわしますが、それはブドウ糖のくっついたヘモグロビンが全ヘモグロビンの中に何%あるかという意味です。

血糖が採血したその時点の血液中にふくまれるブドウ糖の濃度を表しているのに対し、ヘモグロビンA1C値は過去1~2カ月の血糖の積算的な、あるいは平均的な値を示しています。つまり現在だけでなく、昨日、一昨日、その前の日、1週間、2週間前と、過去にさかのぼっての値、それも空腹時や食後、寝ている時間まで含めての過去1~2カ月間の血糖の平均値です。

糖尿病でない人では、大体4.0~5.8%くらいです。糖尿病の治療に際し、ヘモグロビンA1C値が6%台ならあまり合併症は起きないとされ、私たちも一つの目標にしています。

ですから、あなたの場合も現在の治療法で良いのだと思います。ただ、空腹時血糖値が150~160もあれば、通常はヘモグロビンA1C値はもう少し高くなるはずです。貧血はありませんか。貧血があればヘモグロビンA1C値は血糖に対し比較的低くなります。

(県医師会・北室文昭)