健康ア・ラ・カルト

【6)消化器疾患】  3)症状のない胆石は?

質問

43歳、女性。自覚症状は、ほとんどないのですが、健診で胆石があると言われました。肝機能は異常なく、超音波検査でも結石が数個あるものの、胆嚢壁には現在問題はないとされました。痛みが無くても将来のためには手術を受けた方がいいのでしょうか? 痛まねばせぬ方が良いという話も聞きました。胆嚢に悪性の変化が始まると、どんな症状がでるのでしょうか。

回答

◎定期的検査で観察を

現在の状況であれば原則的には手術をする必要はありません。胆嚢結石症で手術が必要なのは、胆石の発作(主に激しい右上腹部痛)を繰り返す場合、胆嚢炎症状(右上腹部痛、発熱など)を起こした場合、胆嚢壁の肥厚、隆起性病変など結石以外の所見があり、胆嚢癌も疑われる場合などです。

胆嚢癌は早期のものではほとんど症状はありませんが、進行すれば上腹部の鈍痛とか肝機能異常などが起きることがあります。いずれにしても胆嚢結石のある方は定期的(6カ月に1回程度)に超音波検査、肝機能検査などを受けることをおすすめいたします。最近では、胆嚢結石症の手術は急性胆嚢炎とか腹膜癒着がない場合には腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われてますが、この方法は創が小さく術後の痛みも少ないので早期に退院が可能です。胆嚢結石症の20~30%は発作を起こさないと言われていますが、症状の無い方でも希望により手術を行う場合があります。主治医の先生とよく相談して方針をお決めになって下さい。

(野島病院副院長・山本敏雄)