健康ア・ラ・カルト

【8)内分泌疾患】  2)糖尿病とインスリン注射

質問

54歳、女性。少し太り気味です。糖尿病の診断を受けておりますが、口の渇きとか全身けん怠などはあまり自覚しません。視力は落ちてきました。

カロリー目標も教えられ、散歩もし、服薬もきちんとして自分なりに養生していますが、血糖やコントロールが一向によくなりません。最近はインスリン注射療法に踏み切るよう勧められ、自分でもそのつもりになっていますが、インスリン注射はいったん始めたら生涯のものですか。注意事項も教えて下さい。

回答

◎症状好転で内服薬変更も

糖尿病の治療の目標はインスリンの作用不足を解消し、良い血糖のコントロールを一生涯続けることにあります。

なぜ、血糖をコントロールする必要があるかといえば、高血糖が持続すると糖尿病の三大合併症と呼ばれる眼・腎臓(じんぞう)・神経の障害が発症し、また動脈硬化症も促進されます。

必要なカロリーを摂取し、運動もして、服薬もきちんとしておられるようですが、血糖のコントロールが良くならない場合にはインスリン注射に変更する必要があります。「インスリン注射は一度始めたらやめられなくなる」と信じている患者さんがおられますが、これは全くの誤りです。血糖、グリコヘモグロビン(血糖値の1~2カ月間の平均値)の値をみながらコントロール良好となれば内服薬に変更可能な場合もあります。

現在、インスリンの注射器はインスリン製剤があらかじめセットされたペン型が普及しており、注射針も非常に細く注射時の痛みが少なく、操作も簡単で注入ボタンを押すだけで注射できます。

特に注意することは低血糖(通常、血糖値が50mg/dl以下)で、食事を抜いたり、激しい運動後におこりやすいのです。もし低血糖がおきた場合には直ちに砂糖20gまたはジュース1本を摂取して下さい。

また最近は血糖自己測定をしておられる患者さんがかなりおられ、家庭での血糖のコントロール状態の把握、さらに自己管理への動機づけとなっています。

(県医師会・天野道麿)