健康ア・ラ・カルト

【14)骨・関節・筋肉】  2)ガングリオン

質問

昨年10月にガングリオン摘出手術をうけました。左掌(てのひら)の中央横3センチくらいです。ガングリオンになる1年前、ふろ場で転倒し、左手をねんざしました。手術後、それが原因でなったように言われました。またガングリオンになるようなことがあるか、予防、原因を教えて下さい。

回答

◎摘出が根本的な治療に

ガングリオンは、その語感から悪性腫瘍(しゅよう)と誤解されやすい疾患ですが、じつは皮膚の下にみられる良性の病変です。20歳代から40歳代の女性に多く、安静にしていると消えたり、活動すると大きくなったり、突然破裂してなくなることもある興味深い病変です。

はっきりした原因は不明ですが、関節や腱(けん)の周囲にふだんみられない異常な物質があらわれ、お便りのように、これに小さな外傷がもとでできてくると考える人が多いようです。

袋のような病変で、中にゼリー様の内容物を貯留しています。手では手首付近に最も起こりやすく、見た目よりかなりふかいところにできる病変です。完全に予防することは無理のようです。悪性ではないので放置してもかまいませんが、不快感が気になる場合や運動痛、あるいは神経への圧迫症状があらわれたら治療した方がよいでしょう。

根本的な治療は摘出することです。深いところにある血管や神経などに癒着していることが多く、一般に手術は止血帯を使い出血の無い状態で行います。そのため神経ブロック、あるいは全身麻酔をします。取り残されないためには、ガングリオンの一部が付着している関節嚢(のう)もいっしょに切除しなければなりません。したがって取り残しのないように摘出すれば、まず再発することはないでしょう。しかし、中には手術しても10人に1人は2年以内に再発したという報告もあります。

(鳥取県立中央病院形成外科・坂井重信)