72歳、女性。昨年よりのどのつまる感じ、食後のむねやけ、そして胸痛があります。胃のレントゲン検査では、私の姿勢が前かがみなので、いい写真は撮れなかったけれど心配ないと言われました。心電図は普通だけれど狭心症が考えられるということで、薬を服用していますが痛みは同じです。いい治療法はないでしょうか。
◎胃食道逆流症の治療を
症状から狭心症も疑われますが、心電図に異常なしとなれば、心臓を養っている冠動脈のけいれんが考えられます。しかしこの病気は女性よりも男性に多く、夜間とか早朝に胸痛が起こり、昼間に痛むことはほとんどありません。
従ってあなたの場合は狭心症よりも胃食道逆流症が原因と考えられます。胃酸が逆流し、胃と食道の境が荒れてきます。以前は逆流性食道炎と言っていましたが、単に食道下部だけでなく、食後のむねやけ以外に、胸骨のうらの痛みやのどのつまり、ときには頚から耳にひびく痛みとか咳（せき）も起こります。
気管支喘息の発作を起こす人の半数以上に逆流症が見られる報告もあるくらいです。胃Ｘ線検査や内視鏡で病変が必ず見つかるとは限りません。食後はすぐ横にならない、おなかを紐（ひも）できつく締めない、食べすぎない、油ものやトマト、さつまいも、甘い菓子を控え目にし、前かがみの仕事を長く続けない、などに気をつけて下さい。
さらにこの病気にはちゃんと有効な薬が出来ています。その服用によって症状が消えてゆく楽しみがありますので、かかりつけ医によくご相談なさって下さい。
（県医師会・西田龍之介）