健康ア・ラ・カルト

【5)口と歯 等】  1)歯周病(歯槽膿漏)の再発

質問

53歳の女性です。8年前から歯槽膿漏(しそうのうろう)の治療を受けていましたが、一応今年の3月で治療が終了しました。過去に3回手術を受けています。その中で1年前に鼻の近くの右上歯茎に膿(うみ)がたまって手術を受けたのですが最近また、同じ場所が時々ジーンとくるような不快感があり心配です。このまま放置しておいて良いものでしょうか。

回答

◎大切なのは毎日の自己管理

口腔(こうくう)は大変細菌の多い場所で、食べかす等で口腔が汚れていると細菌の栄養源となってさらなる細菌の増殖につながり、歯周組織を破壊したり口臭の原因となる物質が作られます。歯槽膿漏(現在ではこの病名は正しくは歯周病といいます)は一般的にはこの口腔細菌によりジワジワと進行していく病気で、一つの手術、あるいは治療を受けたからといって治癒する性質の病気ではなく、大切なのは毎日の口腔の清掃を含めた自己管理であり、その意味で生活習慣病の一つと言えます。最新の治療により歯槽膿漏で失われた歯槽骨が再生した報告もありますが、やはりその後の自己管理が不良であれば病気は進行していきます。

さて、ご質問ですが、すでに述べたように歯槽膿漏は手術により治療が終了する病気ではなく、定期的な歯石除去等の経過観察が必要です。また歯茎の膿の件ですが、それは嚢胞(のうほう)と呼ばれる膿の袋のことだと思います。この膿の袋は歯肉(歯茎)のいたるところに出来、それも原因がさまざまです。この中でも歯根嚢胞が最も多く、処置はその原因となる歯牙(が)の治療と併せて手術をすることがあります。そして比較的まれではありますが再発する場合があります。手術した部分の腫脹や痛みがあるようなら一度受診をお勧めします。

(鳥取県立中央病院歯科口腔外科・谷尾和彦)