涙が出て止まらないで、遠くが見えなくて困っています。良い治療法があったら教えて下さい。
◎流涙症
涙が止まらないことを流涙症と言います。この流涙症は、涙がたくさん出すぎる分泌性流涙と流出障害によるものがあります。分泌性流涙の場合は、前眼部の炎症や異物などによるもので、適切な治療により治癒します。しかし、流涙症の原因の大部分は、涙の流れる道すなわち涙道の障害によるものです。
この涙道障害の場所によって治療法が異なります。涙点閉塞(へいそく)の場合は涙点拡張針で拡大すれば簡単に成功します。涙小管閉塞の場合は、最も治療が難しく、手術を行って、一時的に好結果が得られても、長期的には再閉塞を起こします。鼻涙管に閉塞がある場合、これが一番頻度が高いのですが、涙嚢鼻腔吻合(るいのうびくうふんごう)という涙嚢と鼻腔の間にある骨壁の一部を取り除き、涙嚢粘膜と鼻粘膜を縫い合わせれば、種々の合併症の可能性はありますが治癒します。
実際のこの手術のいい適応は、涙嚢炎をおこしているときで、涙嚢が大きいほうが手術の成功率があがります。
▽対症療法
涙をふきとる場合、機械的刺激が眼瞼(がんけん)縁炎をおこすし、さらに眼瞼外反をきたすことがあるので、眼はきれいなハンカチでおだやかにふき、そのときは外下ではなく、内上にむかってふくほうがよいのです。
慢性涙嚢炎は、1日3回、涙嚢部(鼻のつけ根の内側)を指圧して膿(うみ)を排除し、前述の涙をふく要領でふきとった後、処方された点眼液をさして下さい。
涙液分泌抑制剤として、点眼薬がありますが、一時的に反射性分泌を抑えるだけです。
これらが一般的な治療法ですが、なかなか治療が難しいのが現状です。
(鳥取県立中央病院眼科・岡本勲夫)