健康なんでも相談室

高齢者の口腔乾燥症

回答者:  鳥取県東部医師会員 藤田和寿

質問

80歳代男性。2年前から口の粘つき、乾燥、味覚低下で苦しんでいます。内科や耳鼻咽喉科を受診し、老人性の口腔乾燥症と診断され、唾液の出る薬をもらったこともありますし、水分を多く摂るようにしていますが、徐々に悪くなるようで心配です。

回答

食事をよく噛んで

内科、耳鼻咽喉科受診済みとのことですので、口腔乾燥をきたすシェーグレン症候群(圧倒的に女性に多い)、糖尿病、肝炎、甲状腺機能障害、尿崩症などの病気は考えにくいようです。唾液の分泌は加齢とともに低下しますし、さらに、降圧剤、精神安定剤などの薬で口腔乾燥をきたすこともあります。また、唾液分泌を調節しているのは自律神経ですので、ストレスも唾液分泌低下の原因になります。唾液分泌の低下が味覚、咀嚼、嚥下機能の低下につながり、その結果、食事量も減り、唾液の分泌がさらに減少し、症状を悪化させることになります。その対策として、唾液の分泌を促進する薬、漢方薬、人工唾液などを利用して、症状を緩和するとともに、食事をよく噛んでおいしく食べることで味覚、咀嚼刺激による唾液の分泌を促すようにしましょう。