34歳 女性。最近体がだるくて疲れ易く、微熱があり、周りから顔色が悪いと言われます。生理がなかなかとまらないので婦人科に受診したところ、ひどい貧血ゆえ精密検査を要するとされ、病院に紹介されました。病院では急性白血病と診断されました。白血病は生死にかかわる病気と聞いています。健康な日に戻れるでしょうか。
白血病は五十年前には「不治の病(病気が治らない)」と言われておりました。しかし、今では治療法の進歩により、多くの患者さんが治るようになりました。
白血病は血液の中の非常に若い白血球が臍(へそ)を曲げて、どんどん増え、悪いことばかりする病気で、血液の悪性腫瘍です。
白血病は急性白血病と慢性白血病に分けられます。そして、急性白血病はリンパ性と骨髄性に分けられ、前者と後者の比は小児では四対一、逆に成人では一対四です。
悪い細胞(白血病細胞)は善良な血液細胞より強く、厄介者です。悪い細胞をやっつける薬がつくられ、治療法が向上しました。日本の研究グループの1987年以来の治療成績では成人急性白血病の80パーセントが完全寛解(悪い細胞を完全に殺すこと)に到達し、そのうちの40パーセントの人は全く元気に働いています。
骨髄移植療法は、最近では末梢血中の造血幹細胞(血球の大本の細胞)の移植も行われることより、造血幹細胞移植といわれるようになりました。
全身放射線照射や大量の薬の投与など、現存の治療法のなかで最も強力な方法で、悪い細胞を殺し、提供者の健康な血液細胞を移植する治療法です。薬物療法で治癒の期待できない患者さんにも治癒が期待できます。成人では70パーセントが成功しております。
白血病は治癒可能とはいえ、専門病院での強力治療により、初めて治癒できる病気です。希望をもって、専門医の治療を受けてください。