75歳男性の父ですが，最近同じ質問を何度もしてくるようになり母が心配しています．見た感じは今までと違った様子はなく，行動にもおかしなところはありません．人付き合いや活動が好きでしたが，コロナ後は医師の指示もあって家で過ごすかウォーキングするかくらいになっています．年齢相応の物忘れだと思うのですが，どうしても「認知症」が思い浮かびます．認知症の初期と「軽度認知障害」は違うものでしょうか．
回答
軽度認知障害という状態
ご質問の内容からは，「軽度認知障害」と思われます．これは，物忘れはあっても，複雑でない慣れた日常生活動作にはあまり支障がない状態を言います．
しかし，これは「認知症」の一歩手前の状態であり，脳の中では細胞の変化が起き始めていて，年数が経つごとに認知症を発症していくことが知られています．軽度認知障害の段階で早期発見し，認知症の発症を予防することが重要です．予防のためには，生活習慣を整えること，頭を使うこと，人と交流することなど身近なことが大切です．また，服薬で発症を予防できる可能性があり，医師の診察を受けるのがよいでしょう．認知障害を疑って受診することに対しては，不安や戸惑いがあろうかと思います．しかし，診察を受けて適切な対処ができれば，その後の生活で自分らしく過ごせる時間が長くなるでしょう．