保健の窓

大切にしたい腎臓の健康~腎臓を守る生活と治療の話~

倉吉市 のぐち内科クリニック 野口圭太郎

 

 

 慢性腎臓病(CKD)は腎臓の機能低下、タンパク尿などを伴い、年単位で緩やかに進行する疾患です。最近の調査では成人の5人に1人が慢性腎臓病であると推計されており、身近な疾患となっています。

 高血圧や糖尿病などが主な原因で、初期は自覚症状が少ないため気付かないうちに進行してしまうことがあります。進行するとむくみ、疲労感、食欲不振などが現れ、透析の危険だけでなく、心臓病や脳血管疾患の危険も高まります。しかし早期診断、早期治療で大部分の慢性腎臓病は進行を抑えることが可能です。

 慢性腎臓病の診断には、血液検査による腎機能(eGFR)の評価や、尿検査によるタンパク尿の有無の確認が用いられます。腎臓の超音波検査などで形態異常を確認することもあります。

 職場の検診や市町村の検診を定期的に受けましょう。異常が見つかった際は放置することなく、まずかかりつけ医に相談し、腎機能低下が進行している場合やタンパク尿を伴う場合は専門医に紹介となります。

 予防には生活習慣病の管理が重要です。肥満の是正、塩分制限、運動習慣、禁煙、血圧・血糖のコントロールが進行を抑える鍵となります。

 専門医では慢性腎臓病の原因を調べるための検査を行います。また、腎機能低下の進行を抑えるための薬物療法や食事療法、すでに腎機能が低下して貧血やミネラルの異常、骨の異常などを合併している場合は治療を行います。定期的な検査による経過観察も必要です。

 もし末期腎不全に進行した場合は、透析療法(血液透析・腹膜透析)や腎移植が選択肢となります。患者の年齢や生活背景、希望に応じて治療法を選択します。