健康なんでも相談室

統合失調症の「寛解」と「完治」

回答者:  鳥取県西部医師会員 木下智裕

 

 

質問

 60代女性です。2001年に統合失調症で入院しました。当時は幻覚や幻聴がとてもひどかったのですが3カ月の入院で症状がすっかりよくなり、今も服薬していますが、全く症状がないまま現在に至ります。統合失調症は治ったと思ってよいのでしょうか。それともこの病気は薬を飲んでいて症状が治まっていても治ったとは言わないのでしょうか?薬を飲んでいる限りまだ統合失調症という病気であるということなのでしょうか。

 

回答 

服薬の中断は再発の恐れ 治療を続けて寛解維持を

 

 統合失調症は幻覚や妄想を伴う精神疾患です。以前は治療が難しい病気でしたが、現在は薬を適切に内服し治療を続ければ、社会復帰も可能な病気となってきました。

 精神的にも安定し、元の生活に戻れるようになった状態を「寛解」と呼びます。寛解は「症状が落ち着き、病の兆候が見られない」状態に対して用いられる言葉で、「病を克服し二度と症状が見られなくなった」状態を指す「完治」とは違います。

 統合失調症は服薬を中断するとかなりの確率で再発する危険があり、どれだけ症状が良くなっても完治と診断されることはありません。ただし医療の進歩、新薬のおかげで統合失調症の治療成果(内服を適切に続ければ寛解を長く維持できること)は格段にアップしてきています。医師の指示に従い治療を続けてください。