健康なんでも相談室

透析と生活の両立

回答者:  鳥取県中部医師会員 野口圭太郎

 

 

質問

 62歳男性です。50代より腎機能低下を言われています。進行を遅らせる治療を受けましたが、そろそろ透析の検討時期と主治医から説明を受けました。退職後の再雇用で65歳までは働きたいと思っています。腹膜透析であれば仕事と透析をなんとか両立できるかもしれないと思いますが、退職まで腹膜透析を続けていけるのか教えてください。

 

回答 

血液透析と腹膜透析 最適な治療の選択を

 

 自らの腎臓の機能だけでは健康を維持できなくなった時に、血液透析、腹膜透析、腎移植の中から治療を選択します。血液透析は週3回、1回あたり約4時間の治療が必要ですので、通院および治療にかかる時間が仕事や生活の制限となることがあります。

 自分で人工の腹水を出し入れする腹膜透析は、自宅で治療ができること、治療時間の設定の融通が効きやすいことが利点となります。腹膜透析の1回あたりの治療時間は20~30分程度とお考えください。

 例えば、朝7時に自宅で治療、正午に職場の個室や自家用車で治療、帰宅後18時と就寝前23時に自宅で治療というようなスケジュールであれば、8時から17時の勤務でも問題ないと思います。交換回数は一般的に1日4回程度必要ですが、治療時間はかなり自由に設定することが可能です。

 腹膜透析を継続できる年数は個人差が大きいですが、腹膜透析が続けられなくなった時は夜間の血液透析を選択すれば仕事を続けることは可能だと思います。主治医の先生と相談し、最適な治療を選択ください。