60代女性です。1年ほど前に自宅で転倒して後頭部を強打しました。かなりの痛さと衝撃だったため、翌日病院で画像検査をしたところ、脳動脈瘤が見つかりました。確か2~3ミリくらいだったと思います。1年後の検査で脳動脈瘤の大きさは変わっていないので、そんなに心配しなくてもよいとの所見でしたが、このまま放置してもよいのでしょうか。頭を強打したために脳動脈瘤ができたのか、因果関係も知りたいです。
回答
破裂のリスク低いが定期的な画像検査を
日本の成人の2~6%に未破裂脳動脈瘤を認め、破裂するとくも膜下出血を起こします。こぶができる原因については、遺伝的な要因や高血圧、喫煙などが考えられます。まれに重症頭部外傷によって脳血管に傷がついた時に外傷性脳動脈瘤を起こす場合がありますが、この方のような軽傷の頭部打撲自体は脳動脈瘤の発生には影響していません。
未破裂脳動脈瘤の破裂率は、こぶの大きさやできる位置などにもよりますが、年間1%ほどで、ほとんどのケースで経過観察となります。こぶの大きさが5~7ミリ程度になると破裂のリスクが高まるので、手術が必要になることもあります。
治療法には、開頭クリッピング術と血管内コイル塞栓術があり、いずれも安全性の高い治療法ですが、わずかながら合併症のリスクがあります。定期的な画像検査を継続し、治療が必要な大きさとなった場合は納得して治療が受けられるように、普段から主治医とよく相談しておきましょう。