健康なんでも相談室

進行する下肢のしびれ

回答者:  鳥取県西部医師会員 岡田昭嗣

質問

 79歳女性。3年前に両足先のしびれが始まり、整形外科で腰部脊柱管狭窄症と診断されました。しびれと痛みが次第に上方に広がり、膝付近まで来ています。自己免疫性肝炎という病気で内科の病院にもかかっています。今後歩けなくなるのではと心配です。専門的に調べてもらった方がよいでしょうか。

 

 

回答

 免疫異常も原因のひとつ

 

 腰部脊柱管狭窄症は、腰椎後方の脊柱管が狭くなり、中を通る神経組織が圧迫され、下肢のしびれ・脱力などが出現する病気です。脊椎の加齢変化などが主な原因ですので、変形が進めば、しびれが上方に広がることもあります。一般的に、立ち上がったり、長く歩いたりすると症状は悪化し、逆に安静や前かがみの姿勢で軽快します。安静時にもしびれがあるとすると、他の病気を合併している可能性が考えられます。 この方は自己免疫性肝炎という病気をお持ちでず。異常な免疫反応によって肝細胞が障害される病気で、他の自己免疫疾患、たとえば慢性甲状腺炎、リウマチ、シェーグレン症候群などを合併しやすいという特徴があります。どの疾患も末梢神経炎を生じることが知られており、そうした病気を併発していないかを検討した方がよいでしょう。またこの病気の治療によく用いられるステロイド剤は、糖尿病や血行障害などから、しびれをきたすことがあります。 下肢のしびれが進行する場合、複数の病気や原因が重なり合っていることが少なくありません。このため全身を詳細に調べることが要求されます。一度MRI検査、髄液検査、末梢神経伝導検査などを実施している医療機関で相談してみてください。