健康なんでも相談室

心・腎疾患があるときの水分摂取

回答者:  鳥取県東部医師会員 小坂博基

 

質問

 

 70代女性。3年前に心疾患を指摘され定期観察中です。軽度の腎障害があり、主治医より水分を十分に摂取するように言われていますが、水分をたくさん摂ると、心臓や腎臓に負担がかかるように思います。水分はどれくらい飲んでもいいのでしょうか。

 

 

 

回答 

 体重の増減を目安に

 

 体の中の水分量を調節するのに重要な役目を担っている臓器が腎臓です。心臓と腎臓の両方に病気をお持ちの方は、水分摂取量の調節が難しくなります。水分摂取量が過剰となれば心臓に負担がかかり心不全悪化の原因となりますし、逆に少ないと脱水となり腎機能悪化の原因となります。まずは減塩を心がけてください。塩分の過剰摂取は心臓にも腎臓にも負担がかかります。血圧が上昇し、心機能・腎機能をさらに悪化させます。塩分摂取量の目標は1日6.0g以下です。至適な水分摂取量は尿量によっても変わってきますのでどれだけの水分を飲めば良いのかは一概には言えません。飲水量の目安として体重を利用されてはどうでしょうか。飲水量が多く、体内に水分が蓄積された場合には体重が増加し、むくみが出現します。逆に水分摂取量が少なく脱水傾向になると体重は減少します。体重が増加傾向なら水分摂取を少し控えめにし、体重減少傾向なら積極的に水分を摂るようにします。また、高齢になるとあまり喉の渇きを覚えなくなります。時間を決めて、水分摂取をするなどの工夫をしてみてはどうでしょうか。