健康なんでも相談室

右足大腿から臀部にかけて痛み

回答者:  鳥取県東部医師会員 高橋敏明

 

質問

 70代男性。コロナ自粛で自転車での外出が出来ず、パソコンを使用する日々が長く続きました。自粛解除後、久々に外出した所、100mも歩くと右足太腿から臀部にかけて痛みが増長し歩けなくなりました。脊柱管狭窄症の症状と似ており、1年前に坐骨神経痛の診断を受けました。症状は、尾てい骨付近の痛みが散発する。睡眠時に左ふくらはぎの倦怠感が強く寝付けない時があり心配です。

 

 

 

回答 

 腰部脊柱管狭窄症の可能性

 

 

 中高年の腰痛、下肢の痛み・しびれの多くは腰部脊柱管狭窄症が原因です。神経の束である馬尾(ばび)が圧迫されて両下肢がしびれて歩けなくなる間欠性跛行(かんけつせいはこう)や排尿障害を生じる馬尾型、神経の根元が圧迫されて下肢痛を生じる神経根型、その両方の症状がでる混合型に分類されます。質問では歩行時に片側の臀部から大腿にかけて痛みがでるようなので根症状型の可能性を考えます。腰部脊柱管狭窄症では背筋をそって立ちっぱなしで作業すると症状が増悪することがあります。パソコン作業など長時間の座位は腰によくないですが、今回の症状の原因とは特定できません。もともと中高年で脊柱管狭窄があるところに、椎間板ヘルニアを合併することもあります。1年前に坐骨神経痛の診断を受けたようですがMRIを撮っていれば、再検査をして比較することをお勧めします。治療は馬尾症状のつよい場合には手術を急ぐこともありますが、神経根型では薬物療法や神経根ブロックなど保存療法が中心となります。