健康なんでも相談室

仕事がなく、ライターのガスを吸引している息子

回答者:  東部医師会員 山下陽三

質問

昨年高校を卒業したばかりの息子です。何とか就職したのですけれど、2か月ほどで行かなくなり、部屋にこもり勝ちでした。この頃急に怒りだし、物を投げ、お金を出せと脅します。先日、部屋の片付けをしたところ、床にライターガスのボンベがたくさん転がっていました。本人に尋ねると半年くらい前に友だちに教えてもらったと言います。真面目で大人しい子でしたが、中学のときタバコを覚え、隠れて吸っていました。
親がボンベを取り上げ、どう叱ってもやめようとしません。どこに相談していいのか、身体に害はないのだろうか、ほとほと困っています。

回答

-薬物の快楽は一瞬、さらに、現実をやり切れないものにする-

現在は第三次覚せい剤乱用期で、中学生や高校生の間でも薬物乱用が急増しており、社会的影響は深刻です。この鳥取でも、薬物乱用あるいは依存者が精神科医療機関を受診し、相談・治療することも増えてきました。法律で規制されている薬物は多々あり、酒・タバコ、咳止め薬、鎮痛剤、精神安定剤、ガスボンベのブタンガス等もその依存性が警告されています。量が増えると脳、呼吸器、肝臓などに中毒症状が出ます。

多くは自分を肯定できない居場所のない若者が、仲間に誘われ気分を楽にする目的で、薬物に走ります(図参照)。次第に使用量や回数が増え、自分で中断することも加減することもできなくなり、生活が破綻し社会的信用や健康を損なっていきます。回復を信じ病気として理解し、勇気を出して保健所や県福祉保健部、回復者施設等に相談することです。