健康なんでも相談室

「散瞳検査」とは?-瞳孔を人工的に拡大-

回答者:  西部医師会員 魚谷 純

質問

糖尿病のため、主治医から眼底検査を受けるようにと言われて眼科を受診したところ、「『散瞳検査』が必要だが、車を運転してこられたので今日は無理だ。」と言われ、ちょっと不安になりました。「散瞳検査」とはどんな検査でしょうか。

回答

眼球はカメラに似た構造をしています。カメラの絞りにあたる部分が瞳孔(ひとみ)と呼ばれるところです。この瞳孔は、カメラの絞りと同じように、明るい場所では小さくなり、暗い場所では大きくなって、眼の中に入る光の量を調節しています。そこで、瞳孔より奧にある、カメラのレンズにあたる水晶体や、フィルムにあたる網膜(眼底ともいいます)など、眼球の中を詳しく検査する場合には、瞳孔を人工的に大きくした状態にして検査することが必要になります。これを「散瞳検査」といって、糖尿病に限らず、色々な眼の病気に対して、眼科ではごく一般的に行われている検査です。

「散瞳検査」は散瞳剤という特殊な目薬を点眼して行います。散瞳すると、大量の光が眼の中にはいるため、とてもまぶしくなります。さらに、ピントを合わせる力も麻痺します。ピントが合いにくく、まぶしいので車の運転は危険です。

散瞳剤は個人差はありますが、通常は三十分ぐらいで効果が出て検査可能となり、三時間くらいは作用が持続します。その間は、サングラスなどで強い光から保護して下さい。また、よく見えるように回復するまでは、車の運転や危険な作業などは避けて下さい。細かな文字を見るお仕事などは入れずに、時間に余裕を持って検査に臨むことが大切です。まぶしさはありますが、全く見えないということはなく、痛みもありませんので、安心して検査を受けて下さい。