健康ア・ラ・カルト

【20)女性の健康問題 等】  4)無月経

質問

高校2年生の娘は体重が65㎏前後あり、春ごろから食事制限によるダイエットを始めました。3カ月で6㎏くらい減量できたのですが、それ以降はあまり体重が減っていません。7月の終わりに生理があったきり10月まで生理がありません。ダイエットによるものだと思いますが、どのようにしたらよいのでしょうか。

回答

◎ダイエットが原因か

女性の性周期(月経周期)は卵巣で作られる女性ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類のホルモンによって調節されています。この卵巣の働きは単独に行われるものではなく、脳下垂体から分泌されるホルモンによって調節されており、脳下垂体の働きはさらに上位中枢である視床下部によって調節されています。

過度のダイエット、激しい運動、強い精神的ストレス、拒食症などによって急激に体重が減少すると、最初に視床下部に障害が起こり、脳下垂体を調節するホルモンが分泌されなくなります。その結果、脳下垂体からの卵巣を刺激するホルモンが分泌されなくなるために卵巣の働きが低下し無月経(生理が来なくなる)が起こってきます。この段階でダイエットや運動を調節したり適切な治療を行えば性周期は再び回復し月経が来るようになります。しかし、そのまま放置すると下部中枢である脳下垂体に障害が波及します。脳下垂体の障害は自然に回復する事は難しく性腺刺激ホルモンと呼ばれる脳下垂体ホルモンの補給など特殊な治療が必要になることもあります。これらの障害は成人では比較的軽症にとどまることが多いとされていますが、性周期が完全に確立されていない思春期では成人に比べて重症化する傾向があります。

ご質問の内容から判断するとまだ重症化はしていないと考えられますが、視床下部・脳下垂体・卵巣ホルモンの詳しい検査を行い対処法や治療を選択する必要があります。早めの専門医への受診をお勧めします。

(鳥取市立病院産婦人科・清水健治)