健康ア・ラ・カルト

【2)脳と神経】  6)視力障害と頭痛

質問

40歳、男性。20年以上前に高熱を出して医院へ行き、薬をもらい良くなりかけた後また熱を出し、今度はおしりに2本注射を打ちました。その直後吐き気を催しました。熱は下がりましたが、今度は耳がひどく痛み出し、1.5あった視力が0.3ぐらいにまで落ちました。

それ以後今日まで目をよく使うとき(読書・パソコン使用時)や、チカチカと光輝くものを見続けた後にだんだん後頭部が重く感じられ、痛くなっていきます。

内科・眼科とも異常なく、神経内科(CT・脳波共異常なし)で処方された頭痛薬を飲んでおさえています。視神経に異常があるのではないでしょうか。

回答

◎筋緊張型の可能性

発熱後に視力障害をきたす病態としてはウイルス感染、細菌感染、アレルギーなどにより髄膜炎、脳炎、視神経炎などが引き起こされることがあり、そのいずれかの病態であった可能性はあると思います。

ただ、そのエピソードと現在の症状が関連があるかどうかは難しいところだと思います。視力障害と関連のある頭痛としては目の炎症や緑内障から来る場合がありますが、これらは眼科での診察で異常が見い出されます。

一方脳が原因の場合は、脳腫瘍、脳動脈瘤、脳出血、脳梗塞などの重大な病気のこともありますが、これらに伴う頭痛は手足の麻痺(まひ)などのその他の神経症状を伴ったり、CTで異常が見い出されることがほとんどです。

これらの診察所見や検査所見で異常がないとすれば、頭痛の前兆として視力障害がおこってその後ズキズキとした頭痛がおこる片頭痛、あるいは目の屈折異常や調節障害などがあり、頭周囲の筋肉の緊張が誘発されておこる筋緊張型頭痛などがあります。お話を伺う限りは今の病態は筋緊張型頭痛の可能性が最も高いと考えます。

このような病態には筋肉と精神的な緊張の両方をほぐす薬が効果があることが多く、一度主治医の先生に相談してみられても良いと思います。これらの薬の追加投与や目の疲労を避ける生活によっても症状が改善しなかったり、だんだんひどくなる場合はMRI、髄液検査などのさらに詳しい検査が必要になると思います。これらの検査の必要性や受けるタイミングなどについては、主治医の先生に相談されるのが良いと思います。

(鳥取県立中央病院神経内科・中安弘幸)