健康ア・ラ・カルト

【14)骨・関節・筋肉】  5)五十肩

質問

74歳の男性。5カ月前に杭(くい)を打ち込む作業をして負担がかかったためか、腕、肩が痛くなり、腕の挙上ができにくく、歯磨き、洗面でも痛いのです。近医にかかりましたが、「五十肩なので、半年もすれば治るだろう」と言われ、特に治療をしていません。5カ月たって少しは良くなっていますが、まだ痛みがあり不便です。このまま時間がたてば治るでしょうか。

回答

◎必ず良くなる病気

50歳代を中心に中年以降、特にはっきりした原因なく発症する肩の関節痛と運動性制限を、一般的に五十肩と呼んでいます。大部分は半年から1年で治癒するものです。五十肩と総称していますが、実態は肩の腱(けん)炎、滑液包炎、上腕二頭筋腱腱鞘(けんしょう)炎や癒着性関節包炎、腱板断裂などです。

五十肩になると、上腕を挙上しにくい、手を背中の方に回せない、髪をなでられない、衣服を着たり脱いだりする時に腕を動かすと痛い、昼間は比較的楽だが、夜間寝返りの時に痛みで目が覚めるなどの症状がでます。肩関節は人体の関節のなかでも最も動きの大きい関節なので、関節を構成している軟骨、骨、腱、靱帯(じんたい)などの加齢による変化が痛みとして感じやすい部位と思われます。

五十肩の自宅でできる治療としては、温熱と体操があります。温熱治療としてはカイロの使用、温湿布、入浴などが有効ですし、夜間就寝時には肩や頚(くび)が冷えないよう、布団や衣類での工夫が必要となります。体操は肩が温まって痛みが和らぐ入浴後、または日中に行うのが良いでしょう。ラジオ体操の肩や腕の動かし方に準じて行うのが安全です。

五十肩は時間はかかりますが、根気よく治療を続ければ必ず良くなる病気で、手術的治療が必要となることは多くありません。ご質問の方は杭を打って無理をした後から比較的急に発症しているようですし、年齢も70歳を超えていますので、腱板の損傷や変形性肩関節症によるもの、また、頚椎(けいつい)の病変による肩の痛みの可能性もあります。かかりつけの先生とよくご相談の上、専門医にかかり、正確な診断のもとに適正な治療を受けられることをお勧めします。

(鳥取赤十字病院整形外科・福島 明)