健康ア・ラ・カルト

【9)血液の病気】  4)再生不良性貧血

質問

53歳の姪。3~4年前、再生不良性貧血と診断されました。その後寒さにあい38.9度位の熱が数日続きました。病院へは行かず食餌療法をしています。最近、右肺のほか左も痛くなったといっています。

回答

◎重症度に応じ適切治療

私たちの血液細胞は、骨髄において造血幹細胞(以下幹細胞)より造られます。再生不良性貧血という疾患は、幹細胞自身の質的な異常あるいは幹細胞に対する異常な免疫反応により、骨髄中の幹細胞が著しく減少するため、すべての血球(赤血球、白血球、血小板)が低下する疾患と考えられています。原因不明のものが大部分(約80%)で、年間の新患発生数は人口100万人あたり約5人と推定されています。

血球減少の程度により異なりますが、症状としては、赤血球の減少に伴う貧血症状(顔色不良、動悸、息切れなど)、白血球の減少による種々の感染症(肺炎など)、血小板減少による出血傾向(皮下出血、歯肉出血、鼻出血など)が出現します。ご質問の方も、肺炎を起こしておられる可能性があります。

治療法は病気の重症度(血球減少の程度によって決められています)によって異なります。重症の場合、若年者(一般に45~50歳以下)で提供者があれば、骨髄移植の適応となります。移植の成績は良く80%程度の長期生存率が得られるとされています。移植ができない場合には、免疫抑制剤という薬を用いて治療します。この治療法も移植に近い好成績が得られていますが、できるだけ早期に開始したほうが良いとされています。中等症に対しても免疫抑制剤が適応となります。軽症に対しては蛋白同化ホルモンなどが用いられます。

いずれの場合にしても、血液疾患の治療に慣れた施設での治療が適切と考えられます。できるだけ早く近くの医療機関を受診されることをおすすめします。

(鳥取県立中央病院内科・田中孝幸)