健康ア・ラ・カルト

【3)心臓と血管】  2)ふくらはぎから足の指までのむくみ

質問

46歳の男性です。4~5年前から、ふくらはぎから足の指までむくみはれています。押さえると引っ込み、なかなか戻りません。最初は痛みがあり、外科で診察を受けましたが、病名が分からないままです。その後は痛みもなく、通院はしておりません。最近また痛みが出てきております。おかしいことに、ゴルフに行った日の夜は、はれはきれいに引いています。

回答

◎浮腫

下腿の浮腫(ふしゅ)が両側なのか、片側だけなのか記載がありませんが、診断にあたって重要なことです。両側に生じる浮腫は心臓・腎臓・肝臓・内分泌臓器の病気など、全身のいろいろな疾患から起こると考えねばなりません。ここでは片側のみの浮腫と仮定してお答えします。

下肢の浮腫の原因としては、静脈の病気によることが多いです。そこで、静脈について説明します。静脈には皮膚の下を走る表在性のものと、深い所を走る比較的太い深部静脈の二つがあります。そして、特に四肢の静脈には静脈弁というものがあり、血液が心臓に向かって流れる際に逆流を防止する役割をしています。

表在性の静脈の病気では静脈の拡張・蛇行がみられますが、浮腫が生じることは普通はありません。下肢の浮腫は深部の静脈に何らかの血流障害が起こり、その結果、血流がうっ帯することにより浮腫が生じます。

ふくらはぎから足の指までのむくみとのことですので、大腿部より中枢の深部静脈に狭い部分があるのではないでしょうか。狭窄(きょうさく)・閉塞(そく)の原因としては、静脈の中に血液の塊、すなわち血栓が出来ることによることが多いようです。まれには前述した静脈弁の障害が原因のことがあります。

深部静脈の血栓による下肢の浮腫の場合には、運動などの負荷によって浮腫が消失することはなく、逆に一時的にも浮腫は強くなります。「おかしいことに」とおっしゃるように、病状に矛盾があります。この点はご質問の文面では説明できない病状があるのではないかと思われます。

血管の病気を専門にしている病院を受診され、よく診察してもらうことをお勧めします。

(鳥取県立中央病院副院長・山家 武)