健康ア・ラ・カルト

【11)栄養と代謝の障害】  1)口の中が痛い

質問

中学生の男子。1年くらい前から、口の中に白くただれた水ぶくれのようなものが時々、できるようになりました。少し熱いものや塩辛いものを食べるたびに、しみて痛みます。鉄分やビタミンが不足しているといわれたので食事に気をつけていますが、なかなかよくなりません。どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

回答

◎過労、ストレスなどが誘因

コメ粒くらいの赤いぶつぶつが舌や口の中の粘膜にでき、やがてその中央部がただれて潰瘍(かいよう)状になり、白い膜がついたような状態になって痛みを伴うものをアフタといいます。アフタとは症状をあらわす言葉であり、いろいろな病気の症状、あるいは部分現象としてみられますが、最もよくみられるのは慢性再発性アフタです。

慢性再発性アフタとは、アフタのみが再発性に何度もできるけれども、他の全身的な症状は伴わないものです。ただし、この慢性再発性アフタも長い間経過をみていると他の症状がでてきて、ベーチェット病のような全身疾患の初期症状であったということもあります。ご質問の方は、おそらく慢性再発性アフタであると思います。

慢性再発性アフタは、口腔(くう)粘膜の病気でなかではもっともよくみられるものですが、その原因ははっきりしないことが多いです。過労や精神的なストレス、胃腸障害などが誘因となることがあります。これらが原因であれば、まずそれらを解決することが必要です。そのためには精神安定剤やビタミン剤を使うこともあります。

また、むし歯や歯科金属が舌や頬(きょう)部の粘膜を刺激して、アフタができることもあります。この場合には、歯科に受診する必要があります。

どうしても原因がみつからないときには、対症療法を行うことになります。一つのアフタは放っておいても1週間程度でなおりますが、早く治すための一般的な注意として、食事は熱すぎるものや刺激性のもの(たとえばしょうゆ味の濃いものなど)は避けるのがよいでしょう。

塗り薬としては、粘着性のある軟膏(こう)や粉末を粘着されるものなどがあります。これらの薬は潰瘍の表面を覆って粘膜を保護するとともに、軟膏や粉末に含まれる薬剤が炎症を止めるはたらきをもっています。また内服薬としては、抗アレルギー剤や漢方薬が使われることもあります。これらの薬を上手に使っていくことになります。

(鳥取赤十字病院皮膚科・西浦清一)