健康ア・ラ・カルト

【3)心臓と血管】  1)不整脈

質問

50代後半の女性。以前から不整脈に悩まされています。2、3の病院・診療所で検査を受け、心配なしと言われていますが、気になって仕方ありません。一度、薬をもらいましたが、副作用が出ました。民間療法に頼ることもあります。「二段脈、三段脈の期外収縮だ」と言うことですが、本当に大丈夫なのでしょうか。

回答

◎心室性期外収縮

ご質問から判断して「心室性期外収縮」と言う不整脈と考えます。まず、心室性期外収縮を治療するケースは、(1)心臓に虚血性心臓病や心筋症といった心臓の病気が基礎にある場合(2)または、心室性期外収縮が多源性、RonT 型といった複雑な心室性期外収縮である場合です。このような時には治療が必要となります。

ご質問ではすでに、病院で精密検査を数回受けていますので、基礎的心臓病は否定できると思います。また、二段脈、三段脈といった型の心室性期外収縮には多源性、連続性といった複雑な期外収縮は少ないものです。したがって、ご質問の期外収縮は生命の危険は全くないもので無害性の心室性期外収縮と考えます。

一般に無害性の期外収縮は不安・緊張など心理的ストレスにより誘発されやすい不整脈です。ホルター心電図(長時間心電図)で検索しますと健常成人の50%以上に心室性期外収縮がみられ、高齢者では80-90%にみられ、その大多数が自覚症状を感じていない人です。

しかし、自覚症状の著しい人には治療をすることがあります。過去に服薬して副作用が出たとのことですが、最近はいろいろな種類の抗不整脈剤が数多く開発されていますので、主治医に再度相談してみて下さい。また、ストレスの解消、禁煙など生活様式の改善、鎮静剤や精神安定剤などの投与で期外収縮が消失することもしばしばあります。民間療法で改善したとしたら、その療法を信じて服用しても結構だと思います。

生活様式の改善の一つとして運動することをお勧めします。運動により心室性期外収縮の頻度が増加する時は心臓病の存在が考えられます。一方、健常人では運動することで心室性期外収縮は減少するか、消失します。期外収縮が生じ、不快な時には身体を動かし、運動(歩行など)して脈拍を少し増加させてみて下さい。心室性期外収縮は消失すると思います。

いずれにしても、ご質問の期外収縮は生命に危険もなく、無害性のもので、ご心配はいりません。大丈夫と思います。ただ、だんだんと年をとりますので、年1回程度はホルター心電図で心臓の状態を観察することをお勧めしておきます。

(県医師会・米本哲人)