保健の窓

慢性腎臓病(CKD)って何?

鳥取赤十字病院 副院長 小坂博基

自覚症状出現 機能が低下

 皆さんは慢性腎臓病(CKD)という病気をご存知でしょうか。色々な原因で腎機能が悪くなると、心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など血管が詰まったり破れたりする病気)を併発するリスクが高くなり、さらに腎機能を悪化させ、透析や腎移植が必要になることも少なくないため提唱された疾患概念です。腎機能が悪ければ悪いほど、尿に漏れる蛋白が多いほど心血管疾患を発症する頻度が高くなります。CKD患者さんは、日本国内に1,330万人(成人の8人に1人)いるとされ、新たな国民病と言われています。どの疾患もそうですが、CKDも早期に発見し、早期に治療することが大切です。しかし、腎機能は多少悪くなっても殆ど症状は現れません。すなわち、自覚症状が出現した時にはすでに腎機能がかなり低下していることが多いのです。腎臓の機能は一度失われると、回復することがない場合が多く、慢性腎不全といわれる病態になります。しかし、近年では医療技術が進歩し、早期に治療すれば、腎臓機能の低下を防いだり、遅らせたりすることが可能になりました。自覚症状が出現する前にCKDを発見するためには健康診断を定期的に受診することをお勧めします。

 

 

 

 

腎機能と尿タンパク確認を

 腎臓は尿を生成する事により尿毒症物質を体外に排泄し、同時に体内環境(水分、電解質濃度、pHなど)を一定に保つ様に働いています。そのような腎臓の働きが正常の60%以下まで低下した状態を腎不全と云います。腎機能を知る検査として「クレアチニン」があります。腎機能が悪化するとクレアチニン値が上昇してきます。年齢、性別とクレアチニンの値で推定される腎機能(eGFR)が計算されるようになっています。現在では殆どの医療機関で、クレアチニンを検査するとeGFRが自動的に計算されるようになっています。自身のeGFRをチェックしてみて下さい。eGFRが60以下となっている人は要注意です。eGFRが低いほど、心血管疾患を起こしやすく、さらに腎機能が悪くなりやすいのです。CKDの診断でもう一つ重要となるのが尿蛋白です。尿にたくさん蛋白が漏れ出ている人は心血管疾患を起こしやすくなりますし、腎機能も悪くなりやすいのです。特に糖尿病の患者様はCKDになりやすいため、さらに正確な微量アルブミンを測定します。eGFRと尿蛋白でCKDの重症度を判定するようにしています。自分のeGFRと尿蛋白をチェックしてみて下さい。