Joy!しろうさぎ通信『鳥取大学医学部附属病院ワークライフバランス支援センター センター長就任ごあいさつ』

鳥取大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター センター長 教授 山田七子

 鳥取大学医学部附属病院卒後臨床研修センターでセンター長・教授をしております山田七子と申
します。2023年4月より、附属病院の病院長特別補佐(ダイバーシティ担当)を新たに拝命し、ワ
ークライフバランス支援センター センター長に就任いたしました。どうぞよろしくお願い申し上
げます。
 ワークライフバランス支援センターは “働きやすさトップクラス” をめざして2010年に設立され
ました。私自身はその2年後の2012年4月に副センター長・准教授として病児保育体制の整備や女
性医師のキャリア継続支援推進に携わりました。その翌年2013年8月には卒後臨床研修センターに
異動し、臨床研修担当医師、皮膚科医として働いて参りました。約10年を経て、再びワークライフ
バランス支援センターの活動にも関わらせていただくことになりました。
 2010年の設立以来、ワークライフバランス支援センターは女性医師支援だけでなく、病院が多様
な人材を育成し、そのひとりひとりが能力を発揮して活力と持続性に富む組織となることを目的と
して活動してきました。現在は以下の4つの活動項目を設定し、様々な活動を行っております。
(1)働きやすさ支援
 病児保育(とりっこハウス)
 仕事と育児の両立支援事業
 家事支援サービス事業
(2)メンタルヘルス支援
 公認心理師の活用
(3)キャリア継続支援
 語学・論文投稿支援
(4)モニタリング
 ワークライフバランス調査
 医師のワークライフバランスと家事支援に関するアンケート調査
などです。
 センターのスタッフは副センター長の大羽沢子助教、事務員3名が常駐しており、総務課や看護
部の協力も得ながら活動しています。
 現在、附属病院では、様々な分野・職種において出産後育児支援等を活用しながらキャリアを継
続し活躍する女性職員、育児や家事に積極的に関わりながら活躍する男性職員の姿を目にする機会
も増えました。しかし、まだまだワークライフバランス支援センターの活動や病院の支援が全職員
に十分認知されてないという課題も残ります。病院内での周知や職員の声を聴く活動にさらに力を
入れていきたいと思います。
 “ワークライフバランス” という言葉には、個人の生活を守るために “仕事はほどほどに” するこ
とと捉えられるような印象もありますが、長年大学病院で勤務を継続していると、組織やチームの
中でお互いのワークライフバランスを尊重し共に考えながら、良い仕事をしようと取り組むことが
よりよい効果を生むことを経験します。自分1人では解決できそうにない生活や仕事の問題に活路
を見出すことができたり、新たな自身の能力を発見したり、周囲の奨めで仕事上の未知の領域に足
を踏み入れたことが、後の専門性やキャリアに影響したといったことです。私達が所属するチーム
を構成する仲間は、年齢も背景も、抱える問題も、仕事や人生の目標も様々です。しかし、しっか
り会話をして助け合いながらチームとして良い成果(良い医療)を生み出した経験の一つ一つは、
チームに所属する各人にとって、今後仕事を長く続けながら、良い生活・人生を送るための原動力
にもなるのではないかと思います。特に若い医師には自分自身も気づいてない能力や価値観を発見
し、時にみつめ直しながら、組織やチームの中で様々な経験を通じて巡ってくる医師としての将来
の可能性や選択肢・多様な人との出会いを本院でも増やして欲しいと思います。
 コロナ禍を経て、高齢化や社会の変化を反映し医療を取り巻く状況や個々の患者が抱える病態・
問題は益々複雑になっています。それに応じて医療者に求められるものも多岐・多量となり、今ま
でと同じ対応をしていても不十分だと感じること、満足な結果にならないことも日々経験します。
このような中、働き方改革も始まり、医療者が健康に働けるような仕組み作りが急務となっていま
す。
 鳥取大学医学部附属病院の医療や地域貢献を担う職員を支援するセンター活動を行うとともに、
若い医師や医学生にも本院の医療や様々な取り組みをしっかり伝えられるよう努めてまいります。