Joy!しろうさぎ通信『降っても散っても愉しい毎日を』

米子市 よだか診療所  前 角 衣 美
いつも大変お世話になっております。寄稿のお声掛け頂き感謝申し上げます。せっかくの機会なの
で、当院のご紹介をさせて頂きたいと思います。
 当院は令和元年11月1日、米子市は道笑町、駅前通りから旧商店街に抜ける出雲街道沿いにある
古いビルヂング「米子大店」に本拠地を構え、開院いたしました。在宅医療を専門に手掛ける在宅
療養支援診療所です。在宅医療というのは、手がけるクリニックによってカラーが大きく異なる、
一括りにはできない領域だと考えています。当院が掲げている信条や思想について、お話ししたい
と思います。
 在宅医療の対象患者さんは、「単独で医療機関に通院することが難しい」ということが条件です。
年齢や障害、疾病の詳細は問わず、門扉は常に開かれていると思います。大切なことは、「ただ通
って診察する」のではなく、「その方の暮らし、生き方を見つめ、最善の療養について医療者の立
場から提案し、ケアしていく」姿勢だと思います。
 私たちは契約した患者さんと医療者として繋がるわけですが、患者さんの抱える辛さや希望に耳
を傾けるとき、あくまで一対一の人間として対峙し、一人ひとりとの繋がりを大切に診療させて頂
くことを心がけています。色々な人生を歩んでこられた方の生き様を素直に受け止め、驚いたり、
自分たちなりに模索し、悩んだりする毎日です。療養の在り方を決して押しつけることは出来ませ
んが、少しずつでもよい変化が日常に生まれるよう、穏やかな対話を意識するようになりました。
我々が掲げる理念は「降っても散っても愉しい人生を 一人でも多くの人に歩んでもらえるよう活
動すること」、そのために「在宅医療の希望の種を地域に蒔き続けること」です。なかなか芽が出
ない時もありますが、我々の理念に呼応して下さる地域の医療機関、事業所の方々に支えて頂き、
今日もここでみなさんのところまで診療にうかがえることをかけがえのないことだと感じています。
 我々が患者さんやご家族の辛さに向き合う時、あまりの苦しさに言葉を失ってしまうこともあり
ますが、自分たちの中にある「働く・役立つ」喜びを見失わず、いつもフラットな気持ちで明るく
いられるよう仲間同士助け合って活動しています。
 ここで働く自分たちの暮らし・夢・目標も見つめなおすことが出来ること、それが当院にとって
のワークライフバランスだと思います。社用車は、ベージュのカラーに小鳥のロゴが目印です。見
かけられた折には、ぜひ声をかけて下さい。いつかどこかの街角で、お会いできるといいですね。