Joy!しろうさぎ通信『第4回鳥取県女性医師の会』

日 時  令和5年1月29日(日)
     午後2時~午後4時45分
場 所  オンライン(Zoom)
出席者  33名(うち医師28名、公認心理師1名、その他4名)
主 催  鳥取県医師会
共 催  日本医師会女性医師支援センター
     鳥取大学医学部附属病院
後 援  鳥取県

開会挨拶(要旨)
〈鳥取県医師会常任理事(男女共同参画推進委員会委員長) 秋藤洋一先生〉
 鳥取県女性医師の会は、3年ぶりの開催となった。本日は、大雪の影響で、急遽オンラインでの
発表になった先生もおり、不便をかけるが、よろしくお願いする。なお、女性医師支援委員会は男
女共同参画推進委員会と名称を変更して運営している。

 また、挨拶に併せて、日本医師会女性医師バンクの紹介があった。

〈鳥取県医師会会長 渡辺 憲先生〉
 鳥取県女性医師の会は、3年ぶり4回目の開催である。女性医師支援事業は、松田隆子前理事、
武信順子先生らに筆頭となって長年取り組んでいただいた。また、鳥取県医師会報では、「Joy! し
ろうさぎ通信」にて、女性医師の先生方の活躍やワークライフバランスに関する情報などを掲載し
ている。現在、鳥取県医師会および日本医師会において、会員の過半数以上が勤務医となっている。
その中でも、女性医師の比率は年々高くなってきており、医師会の会務でも、地域医療でも、今後
ますます活躍していただけることと期待している。
 今後の働き方改革では、女性医師・男性医師ともに力を合わせて、働きやすい環境を構築し、地
域医療を支えていきたい。

「令和3年度鳥取県医師会 女性医師の意識調査に関するアンケート結果」について報告
〈男女共同参画推進委員会委員 松田隆子先生〉
 家事・育児・介護についての質問のほか、日医ニュースの記事「勤務医のひろば『医師は育児や
介護を中心になって担うべきではない』」について、「家事や育児をすべて他人に任せるのは子供
にとって良いことではない」「キャリアを積んでいくには、育児をプロに任せることも良いと思う
」など様々な意見が挙がった。

1.基調講演 (座長:鳥取県医師会会長 渡辺 憲先生)
『岡山県医師会の女性医師支援活動』
岡山県医師会副会長 神﨑寛子先生
 岡山県では、平成13年に岡山県女性医師の集いを行い、平成14年に岡山県医師会女医部会が発足
した。現在は、勤務医部会との連携、女性医師相互の研鑽・親睦・社会的地位の向上、女医部会報
の発行、女性の健康週間 県民公開講座の開催などの活動を行っている。
 また、県委託事業の「女性医師復職支援事業」では、医学生や研修医などのキャリアアップサポ
ートを目的としたミーティング「Doctor’s CareerCafé in OKAYAMA」の開催や、女性指導医の活
躍促進を目的とした「天晴れジョイボスアワード」の設置・表彰を行っている。
 女性医師が指導的立場になるために、長時間勤務、献身的働き方をキャリアとする先入観などを
働き方改革で変えること、男女の役割分担への先入観を育児・介護休業法改正で変えていくことが
必要だ。

2.各地区医師会からの発表 (座長:鳥取県医師会理事 來間美帆先生)
(1)『鳥取県立中央病院における働き方改革』
鳥取県立中央病院 血液内科 小村裕美先生
 鳥取県立中央病院では、医師全体のうち女性は21%である。院内の女性医師に対し相談・支援を
行い、職場環境の改善や問題解決に取り組み、働きやすい職場づくりを目指すための部門として、
職員支援室が設けられている。育児支援制度や復職支援研修会、懇話会の開催など、出産・育児休
暇を経て働くことのできる体制整備に取り組んでいる。また、出産・育児中の女性医師に対する支
援として、リモートワークや時短勤務、院内保育所の設置などが行われている。
 2020年4月には、部局横断的に取り組みが必要な、緊急性の高い課題に対応するために院長直属
のタスクフォースが設置された。タスク・シフト/シェアの推進により、医師の時間外勤務削減を目
指す。男女ともに、個人の状況に応じて働き方を選択できる環境整備が必要である。

(2)『女性医師の妊娠出産子育ての難しさ~産婦人科医の立場から~』
はまよしレディースクリニック 院長 濵吉麻里先生
 妊娠適齢年齢は25~32歳と言われている。一方で、医師は、25歳で医学部を卒業し、30歳で専門
医の資格を取得するキャリアケースが多い。女性医師の初婚平均年齢は34.9歳である。20代~30代
前半の時期は医師としての研鑽を積むことに時間を割き、仕事が少し落ち着いた頃に結婚を意識され
る方が多い。また、医学的な知識がある分、高齢出産のリスクを理解しているため、「出産するなら
少しでも若いうちに…」と結婚に踏み切る方も少なくない。
 専門医資格取得・結婚・出産を経て、2016年、倉吉市にはまよしレディースクリニックを開院し
た。産婦人科学の専門領域として、「女性医学:女性のヘルスケア」が新たに加わったことが、自身
の大きな転機となった。

(3)『自分の役割を果たすために』
ふくい内科クリニック 大倉裕子先生
 一昨年まで夫に帯同し、アメリカに滞在していた。オハイオ州のシンシナティチルドレン病院
(CCH)で臨床研修に参加した。同病院は、シンシナティ大学医学部小児科の病院で、シンシナティ
大学のサピン博士が経口ポリオワクチンを発明するなど、世界的に有名な小児病院である。
 臨床研修に参加して、患者数が少なく一人当たりにかける時間が多い・医療保険によって受診で
きる医療機関が決まっているなどのシステム上の違い、エビデンスレベルの治療だけでなく、論文
段階の治療法についても患者と相談しトライするなどの医療に関する違いを経験した。また、女性
医師の働く環境についても、男性の育児参加率の高さや、産後復帰の早さなどの違いがあった。
 日本の医療現場においても、交代勤務制などの働きやすい環境整備、産後復帰への周囲の協力な
どが大切だ。

(4)『鳥取大学医学部附属病院における女性医師支援の取り組み』
鳥取大学医学部附属病院ワークライフバランス支援センター
       副センター長(公認心理師) 大羽沢子先生
 ワークライフバランス支援センターは、育児・介護・メンタルヘルスケア・健康管理・職場復帰
など、職員を支援し、快適な職場環境整備に取り組んでいる。多様な働き方・生き方を尊重し、職
員一人ひとりが能力を発揮できる病院を目指して活動を展開している。
 子育て支援として、院内保育所を整備し、仕事と育児の両立支援として、病児保育やベビーシッ
ターなどの保育サービス利用料の補助、家事支援サービス補助(試行)を行っている。
 女性医師がキャリアを継続するためには、パートナーの意識改革も必要である。働き方改革と多
様なワークライフバランスの在り方について、職員とともに考える機会を設けていきたい。

質疑応答

閉会


アンケート結果(抜粋)
【参加された感想】
・女性医師のワークライフバランスについての取り組みを知ることができ、参考になった。
・神﨑先生のご講演ではいろいろな取り組みをされていて素晴らしいと思った。そして活動を持続さ
 せるのは難しいこともわかった。
・制度や取組の話などばかりで、この会でなければ聞けない話というのがなかった。
・神﨑先生の講演の内容(①priorityを決める②他人の評価を気にしすぎない③完璧を求めない)など
 心に残った。
・女性医師支援の取り組みの経緯と今後の課題について考える機会になった。
・若手の女性医師の意見がもっと聞きたい。

【参加されて女性医師支援、ワークライフバランス、男女共同参画に対する意識は変化しましたか】
・子育て支援だけではなく、自分自身の働き方やキャリアについて思いを聴くことができた。医学生
 や研修医等の若い方に伝えていただきたいと思う。
・自分自身が固定概念にとらわれている部分があるので、もっと勉強していきたい。
・ワークライフバランスについて今後も男女ともに考えていく必要がある。(システム構築など)
・女性医師の皆さんの実践に感銘を受け、意識が上がった。

【今後もこのような活動は必要だと思いますか】
・男女関係なくこの状況に更なる理解が必要である。
・所属部署によっては女性が少ない所もあると思うので、横のつながりを大切にして情報交換するこ
 とが大切。
・もっと多くの先生に興味を持ってもらわないと改革は進まない。
・先輩女性医師が作ってくださった活動を継続し、顔が見える関係でなんでも言える関係になるまで
 活動継続が必要(特に若い女性医師)。

【ご意見・ご要望】
・医師の多様な働き方の観点から男女に囚われずこのような会を開催いただきたい。女性ならではの
 悩みや不安もあり、女性医師を対象とした会も引き続き開催いただきたい。
・Webが併用されているほうが多くの方が参加できると思った。
・育児と仕事を両立させるのは難しいと思うが、苦労したこと・役に立ったことなど具体的な話を聞
 きたい。
・もっとお互いに話ができるのかと思って参加した。若い先生でも気軽に質問できるような会が開催
 されると嬉しい。(オンラインだと難しい?)
・女性の場合、「子育てと仕事の両立」というテーマが多いですが、仕事上の意識などもテーマに扱
 っていただきたい。
・この地域では勤務医数が病院数に対して不足しており、当直業務などで女性医師が仕事を続けにく
 くなっていると思う。地域ぐるみで、医師・病院間での調整が必要だと思う。