Joy!しろうさぎ通信『日日是好日』

鳥取市 すえひろ生協診療所  大廽 あゆみ

 

 皆様こんにちは!いかがお過ごしでしょうか。
 今回原稿の依頼をいただいてから筆を執るまでにずいぶん時間がかかりました。これまではお気楽な
読者として、時にアカデミックな、時に洒脱で軽妙な楽しい先生方の文章を拝読していたのですが、い
ざ自分にお鉢が回ってくると「はて、私になにが書けるのか…」と真っ白になっていた次第です。
 しばしの真っ白期間を経て、せっかくいただいたこの機会に、自分について少し考えてみました。
 2007年に医師免許を取得し鳥取生協病院に就職し、気がつけば13年目に突入しております。月日が
過ぎるのは本当に早いですね…。いつまでもひよこのような気持ちが拭いきれませんが、13年もすぎる
と変わる部分も多く出てきます。当初は指を咥えて指導医の華麗な手技を見ていた胃カメラや大腸カメ
ラができるようになり、ERCPやESDなども修行中ではありますが少しずつ経験を積んできております。
以前は失敗を避けたいがあまり緊張しすぎる面があったのですが、力が抜けてきたのか図太くなった
のか、うまく行かなかったことを次には克服するぞ!という気持ちになってきました。現在では消化
器内科医の経験を生かして、日々2才の娘のウンチをしげしげと観察し、その性状、量、におい(!)
から彼女の健康状態を推察しております。夫にはずいぶん引かれますがめげません。
 また医師3年目から開始した、在宅専門であるすえひろ生協診療所の訪問診療も継続中で、2016年
からは所長を拝命し、鳥取生協病院消化器内科医と診療所所長の二足のわらじを履かせていただいてい
ます。病院では見ることができない患者さんの生活が見られること、患者さんやご家族、訪問看護スタ
ッフなどチームとして信頼関係を築き上げることなど、かけがえのない経験をさせていただいています。
医師としても人としても、学びや感動の多いとても大切な場です。近年は当院の初期研修医さんや後期
研修医さんを巻き込み、この素晴らしい場をもっと知ってほしい!あわよくば訪問診療医になってほし
い!と野望を抱いております。
 仕事以外でも、よく飲みよく遊び、結婚し、母を看取り、母になり、と色々な変化がありました。ク
ラシックばかり聴いていた私が、音楽大好きな夫にロックやメタルに洗脳され、気がつくと頭が揺れる
(ヘドバン!)ようになり、ライブで3時間飛び跳ねまくるようになりました(LoveBABYMETAL!紅
白が楽しみです)。生涯観ることがないと思っていたボクシングを楽しみに待つようになりました(先
日の井上尚弥選手の試合、痺れました!)。旅行と飲み食べ歩き以外は根っからのインドア派で、夏は
早朝と日が暮れてからしか外に出たくないと思っていましたが、スノーボートや海水浴を楽しめるよう
になりました。日焼け対策への悩みは尽きませんが、いつかは南の島でダイビングをするのが夢です。
幼い頃から好きな旅行や読書、映画鑑賞はますます好きになり、それぞれで楽しめるジャンルが広がっ
たのも変化でしょうか。
 変わらないことと言えば美味しいものが大好きです。もともと自分では和食を作ることが多かったの
ですが、お料理上手な夫は和洋中とごちそうを繰り出してくれ、すっかり胃袋を鷲掴みにされています。
かつてないほどタンパク質を摂取しており、娘の抱っこにも気合いが入ります。また白米の美味しさに
も近年気がつきました。お産の渦中、「あともう2、3回いきんだらゴールだよ!」と助産師さんに励
まされましたが、その言葉で激しい空腹感を覚え、何より欲したのはお米でした。傍らで手を握り、腰
を擦ってくれている夫に「おにぎり……おにぎりをください!」と口走ったのが開眼した瞬間だったの
でしょうか(おにぎりは分娩室にはなくお茶で乗り切りましたが…)。
 今年39歳になるにあたり、いろいろなことに感謝(サンキュー!)をする年にしよう!と抱負を掲げ
ました。「すみません」よりも「ありがとう」を増やそうと思っていると物事の感じ方も変わるのか、
周囲に優しいこと、ありがたいこと、嬉しいことが沢山あります。出産後から以前にも増して崩壊気味
な私の涙腺が緩みっぱなしで、そのうち朝日を拝めたことに感涙し始めるのでは、とやや心配です。
 お話は変わりますが、1年間の育児休業からの復帰後は、消化器内科医としての業務よりも一般内科
医、在宅診療医としての業務が多くなっています。前述のとおり、やりがいは十二分にありますが、も
ともと手技が大好きで消化器内科医を志した身としては、一抹の寂しさを覚えたり、果たして現在の自
分を消化器内科医と言っていいのだろうか…と悩むこともあります。そんな中、同じ消化器内科の子育
て中の先輩医師とお話することが大きな力になっています。じっくり話せることはたまにしかありませ
んが、日々の業務の相談はもちろんのこと、他愛もないこどもの話から笑い話、キャリアについての相
談事など、話は尽きません。また先生方やコメディカル、事務さんたち病院のスタッフがとにかく温か
く、前述のサンキュー!を日々感じています。この病院、診療所の一番の魅力は人だ、としみじみ思い
ます。
 全世界で新型コロナウィルス感染が猛威を振るい、あらゆる面でストレスが多い現状に、私事ばかり
の大変お気楽な文章となりましたが、これからも人生も仕事も、目一杯楽しむことに邁進して参りたい
と思います。
 最後になりましたが、貴重な機会をいただいた編集部の皆様、いつも支えてくださる鳥取生協病院、
すえひろ生協診療所の皆様、不器用な私と人生をともにしてくれる夫と娘に感謝と愛を捧げます。これ
からもよろしくお願いします!
 Enjoy your life!!