山陰労災病院　耳鼻咽喉科　三原弥生

　私は耳鼻科医をしており、１歳の子どもがいます。出産前まで大学病院に勤めておりましたが、
産後６ヶ月の育休明けから山陰労災病院へ異動となり、現在半年ほど経過しました。夫は松江の病
院で泌尿器科医をしております。最近ようやく育児と仕事の両立に慣れてきましたが、育休明けは
心身ともに限界の毎日でした。子どもは人見知りが激しく保育園に慣れるまで時間がかかったり、
頻回に風邪をひいて早退・休みを繰り返したり、子どもから風邪をもらって一家全滅したり、夫婦
そろって異動となったため仕事を覚えるのが大変だったり、とにかく目まぐるしく毎日が過ぎてい
きました。実家は遠方なので頼れる人もおらず、夫は出勤時間が早く土日も仕事なのでほぼワンオ
ペであり、フルタイムで当直と待機もしていたので復帰後の記憶があまりないです。そんな大変な
日々を過ごしていましたが、上司が子育てへの理解があり職場環境はとてもいいので、なんとかこ
こまで仕事を続けることができています。
　女性医師は仕事と家庭の両立が大変とは聞いていましたが、実際に妊娠、出産するまではその言
葉の意味をあまり理解できていなかったように思います。子育てされている女性医師を何人か見て
きましたが、皆さん弱音も吐かずに仕事をされていたので、自分もなんとかなるだろうと思ってい
ました。でも当事者になると、みんなの前で弱音を吐いていなかっただけで、本当はたくさん悩み
を抱えているのだとわかりました。一人で悩まずに相談できる環境があることは非常に重要だと思
います。大学の耳鼻科は女性医師が少ないですが、子育てや仕事のことなどを気軽に話し合える
グループがあるので、日々のストレス解消にも繋がっています。また、無理なことは無理と言える
ようになることも大切だと気がつきました。今まで一番下で働いていた期間が長かったため、雑務
など含め仕事を多く引き受けやりきることがいいことだと思っていましたが、自分一人の容量には
限界もあるので、人に頼ることも必要だと分かりました。あと、仕事にやりがいを持つこともいい
ことだと思います。忙しい日々を送っていると業務が流れ作業のようになってしまうこともありま
すが、自分が執刀した患者さんが術直後から症状が改善しているのをみると、頑張って良かったな
と思います。仕事に夢中になっている間は、母親としてではなく一人の医師としてやりたいことが
できているように感じます。
　医師の仕事を継続していくのは周囲の環境が整っていないと難しいと思います。今の職場環境
には本当に感謝しています。私も夫もまだ専攻医なので異動も多く、今後も今と同じような働き方
ができるかはわかりません。環境が変わる度に新たな問題が出てくることが予想されますが、まず
は今置かれている環境でしっかり頑張っていこうと思います。

 

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