Joy!しろうさぎ通信『年を重ねて思うこと』

倉吉市 垣田病院 内科  山 村 眞由美
医者という職業で女性が仕事を続けるのには周りの助け、特に家族の助けは本当にありがたいと、
勤務医として窓際族の年齢になり思うこの頃です。今は女性が仕事を続けるためにいろいろな環境
整備が進んでいるようですが、最後は家族の協力、援助が欠かせないと思います。自分も大変な時
期を乗り越え、つらかった時のことはあまり記憶にありませんが、頑張ったおかげで今は穏やかな
気持ちで仕事に励んでいます。私にとっても家族の助けが大きかったと思います。そのおかげで私
は仕事を続けられた代わりに、夫、子供に今思えばすごい負担、迷惑をかけていたと思います。で
も若い頃はそんなことにあまり気づいておりませんでした。夫は(私が言うのもなんですが)実力
のある人なので、もっともっと専門分野で一線の仕事をしたかったのではないかと、でも結婚する
時に約束してくれた、夫婦で行う子育て、私への仕事を続けることへの理解を実践する為、思う存
分したい仕事ができなかったのではと申し訳なく思っています。女の子を授かりましたが、若い時
は自分がどうしたら仕事を続けれるかで精一杯で、もっともっと愛情を注ぐべきだったと子供にも
申し訳なく思っています。子供はそんな私たち両親の姿を見て育ちました。多分かまってもらえず
寂しい思いを抱いていたと思いますが、なぜか同じ医師という職業を選び、仕事に頑張っている姿
を見て、“あまり無理しないでね”と心の中で叫んでいます。気持ちの余裕ができた今、できたら
何らかの援助が出来たらと思いますが、子供はいたってクールに育ち、決して私に援助を求めませ
ん。私から仕事を奪ったら認知症があっというまに顕在化し、かえって大変だと思っているのかも
しれません。でも子供は優しい伴侶に恵まれ、私には甘えることなく、伴侶様に甘え、愛情を注ぎ
たくても今は伴侶様の娘への愛情に入り込むことが出来ず、寂しい限りです。自分で蒔いた種だと
悔やんでいます。
 女性が社会に出て働き続けるには、まだまだ周囲のサポートが必要です。上手に甘えてもよいの
ではと老婆心ながら思います。働く女性にとって、次第に働きやすい環境になってきている気がし
ます。まだ不十分でしょうが、私が若かったころの環境を考えると、今の若いうちから働く女医さ
んは幸せだと思います。でも仕事を続けるには、最後に頼りになるのは家族です。働く女性の皆さ
ん、もう一度言わせてください。家族を大切に、感謝の気持ちを持ち続けてください。