Joy!しろうさぎ通信『女性患者さんとも共に歩める診療を』

境港市 つのだ内科・循環器内科クリニック  角 田 郁 代

内科・循環器内科クリニックを境港市に開院して現在約3年半になります。内科専門医としても循環器専門医としても地域に貢献できればと、若輩者ながら奮闘中です。

発熱、風邪症状、動悸、胸痛、不整脈、血圧が高いなど、さまざまな症状で来院されますが、当院の患者さんのうち約6割が女性です。当院は受付、看護師、医師とすべて女性ですので、全員が女性であるが故に受診していただけることもあります(気後れしてしまう男性患者さんもおられるかもしれません)。女性特有のことについてもお伺いでき、衣服を全てまくりあげて胸やお腹を診させていただくことが比較的易しくできます。それにより本人も自覚していなかったような症状につながる問診をとることもでき、心雑音や呼吸音も聞きやすくなります。レントゲン写真を撮るときでも、心電図、心エコーでも、ちょっと胸に触れてしまっても恥ずかしい気持ちが軽減して、検査を受けていただくことが出来ます。特に心エコー中は灯りを少し暗くして壁の方を向いてベッドに寝ていただきますので、私と顔を合わせることなく検査が進みます。患者さんも検査を受けながらゆっくり自分の症状をお話ししていただくことができます。話をしているうちに、身体の不具合について、心のうちや仕事・家でのストレスについて、子供の病気や子育てについてなど来院された時に自身が気になっていた症状以外についても引き出すことができます。心の問題やストレスが動悸や胃痛につながっていることもありますし、診察室で思い余って泣き出されることもあります。

女性の中には会社で働いている方もおられるものの、子育て奮闘中や主婦業に専念しておられる方、自営業などの方も多くおられます。仕事以外にもどうしても家庭のこと、家族のことにかかりきりになってしまって、自身のことにおろそかになりがちになります。体調を崩して何週間、何ヶ月もたってから受診されることも多く、自分の身体のことなのにちょっと気になった時に相談したり、受診できていないのが現状です。平成28年国民生活基礎調査での胃がん・肺がん・大腸がん検診いずれにおいても男性に比較して女性は検診受診率も低く、子宮がん・乳がん検診も約3割であることからも分かるように、女性の方は自分自身の身体に対する関心度も低く、受診出来ていないのが現状です。男女ともに会社で働いているうちは定期健診など受けられるものの、退職後は検診を受ける方が減少してしまうのと合わせて今後の課題であると考えます。

私自身は非常に恵まれていて検診も毎年きちんと受けています。主人が家事をかなり分担してくれ、総合病院勤務時代から帰宅の遅い私をサポートしてくれていますので、女性医師としてというよりは一医師として働くことができています。すべての女性がそんな環境にはないと思いますので、自身の幸せをかみしめるとともに、女性患者さんを含めできるだけ多くの患者さんをサポートできるよう、より一層精進していきたいと思います。医師会の皆さまのサポートあってのことですので、今後ともよろしくお願い申し上げます。