Joy!しろうさぎ通信『双子育児』

鳥取大学医学部附属病院 皮膚科 木村良子

 私は鳥取大学の皮膚科医で、夫も同じく大学の泌尿器科医です。4歳の双子と1歳の男児、計3
人の子どもがいます。
 育児歴はまだ4年ほどですが、これまでを振り返って最も大変だったのは、やはり双子を出産し
た直後の数カ月間でした。初めての育児が双子だったこともあり、戸惑いの連続でした。
 双子育児で大変だった点はいくつかありますが、まず挙げられるのは、生後3カ月ほど続いた夜
泣きです。2人が同時に泣くのももちろん大変ですが、どちらかが泣きやんだと思った矢先にもう
一方がぐずり始め、その声につられてまた2人とも泣き出す…というエンドレスな夜が何度もあり
ました。最初のうちは、ぐずり声が聞こえるたびに飛び起きてあやしていましたが、次第に「こん
なに大きな声で泣くことができるのは元気な証拠」と自分に言い聞かせるようになり、少しずつ気
持ちに余裕を持てるようになりました。
 授乳の頻度も負担が大きかったことの一つです。お腹がすくタイミングが2人同時であれば比較
的楽ですが、片方が欲しがってもう片方がまだ…ということも多く、その結果、一日中授乳してい
たような日もありました。次第に、できるだけ同じタイミングで授乳できるよう、意識してリズム
を整えるようになりました。
 また、赤ちゃん2人を連れての外出も予想以上に大変でした。授乳やおむつ替え、着替えや上着
の準備、そしてベビーカーへの乗せ降ろしなど、出かける前だけでかなりの時間と労力がかかりま
す。外出先でも、双子用ベビーカーでは通れない道や階段があり、さらには2人同時にぐずってし
まうこともあって、非常に気を使いました。そのため、産後4カ月ほどは健診以外で外出すること
はほとんどありませんでした。久しぶりに健診で外の空気を吸ったときの爽快感は、今でも鮮明に
覚えています。
 私は里帰り出産をし、産後4カ月まで実家で両親と共に育児を行いました。両親は全面的に育児
に協力してくれ、孫をとても可愛がってくれたおかげで、何とか乳児期を乗り越えることができま
した。双子を育てたことのある親御さんとお話しすると、「産後数カ月の記憶がない」とおっしゃ
る方が多く、それだけ体力も気力も消耗する時期だったのだと実感しています。この経験を通じて、
多少のことでは動じなくなり、頼れる人には積極的に頼るという姿勢が自然と身につきました。良
くも悪くも、神経が図太くなったように思います。
 現在、双子は4歳になり、1歳の弟を可愛がってくれています。上の子たちは活発になり、遊び
もどんどんダイナミックになってきたため、体力を使う遊びは主に夫に任せています。また、毎朝
夫が子どもたちを保育園へ送り、お風呂もできるだけ夫が担当してくれています。
 私は現在、育休を終えて職場に復帰していますが、職場の理解と家族の支えがあって、なんとか
毎日を乗り切っています。慌ただしくも、今しか味わえないこの貴重な時間を、丁寧に大切に過ご
していきたいと思っています。