Joy!しろうさぎ通信『医師の働き方改革に寄与する男女共同参画を目指して 第17回男女共同参画フォーラム』

日 時  令和5年5月27日(土)
     午後1時30分~午後5時15分
場 所  都ホテル四日市
出席者  秋藤常任理事、來間理事
     事務局:上治主事

挨拶(要旨)
〈日本医師会 松本吉郎会長〉
 本フォーラムは、コロナウイルス感染症の影響により、当初の予定を2年延期しての開催となっ
た。本年度は「医師の働き方改革に寄与する男女共同参画を目指して」をテーマとしている。2024
年4月より、医師に対する時間外労働の上限規制が適応される。その対応は大変ではあるが、事前
にしっかりと準備をしていただき、医療機関勤務環境評価センターへ早めの申請をお願いしたい。
 働き方改革は、すべての医師が人間らしく生活するための制度でもあり、男女共同参画の推進を
後押しする絶好の機会でもある。これから働き方改革を進めていく上でも、医療の質を守るために
はその原資が必要である。本フォーラムが、誰もがいきいきと働き続けられる医療界を目指すその
一助となることを祈念したい。

〈三重県医師会 二井 栄会長〉
 本日は、全国より多くの先生方に参集いただき感謝申し上げる。
 令和4・5年度の男女共同参画委員会の諮問は、「超高齢社会における男女共同参画の推進」で
ある。偶然にも、本日基調講演をいただく井村屋グループの浅田剛夫取締役・取締役会議長および
シンポジウムで講演いただく入山紀美子先生のお二人は80歳を超えて活躍されている。まさに諮問
答申にふさわしい人選ができたと自負している。お二人の先輩を参考にしながら精進していきたい
所存である。
 本日の男女共同参画フォーラムが実り多き会となることを祈念する。

基調講演
「機会と評価の平等が共同を創る」
〈井村屋グループ株式会社 取締役 取締役会議長 浅田剛夫氏〉
 井村屋グループはホールディングカンパニーとして国内事業と共に海外事業を展開する食品メー
カーである。
 「おいしい!の笑顔をつくる」をグループのパーパスに定め、皆様の笑顔を通して幸せをお届け
することを願うとともに、次の125年を目指して「しなやかに強い」時代変化に対応できる「レジ
リエント・カンパニー」を目標に、ダイバーシティーにも深い関心を持って取り組んでいる。
 海外進出の経験を通じて、ダイバーシティーの大事さを学び、男女共同参画は当然の実行項目と
思考している。男女共同参画はその仕組みの構築の前に共通の事業目的の理解が存在し、男女の特
性を相互に理解した上で、挑戦ができるすべての機会に対して均等にチャンスを持ち、その実務評
価は平等であることが基本と思っている。

報告
1.「日本医師会男女共同参画委員会」
〈日本医師会男女共同参画委員会委員長 小泉ひろみ先生〉
 本会における男女共同参画への取り組みは、男女共同参画委員会・女性医師支援センターにおい
て進めている。男女共同参画委員会の具体的な活動は、①諮問への答申、②男女共同参画フォーラ
ム企画への意見具申、③女性医師・男女共同参画に関する調査である。
 令和4・5年度は、「超高齢社会における男女共同参画の推進」の諮問答申を検討すべく、「勤
務医会員数・勤務医部会設立状況等調査」「50歳以上の医師の将来のキャリアプラン調査」を予定
している。

2.「日本医師会女性医師支援センター事業」
〈日本医師会常任理事 神村裕子先生〉
 日本医師会女性医師バンクは、厚生労働省の指定を受け、医師のライフステージに応じた就労を
支援し、医師確保を目的として実施している職業紹介事業である。求人・求職など利用料はすべて
無料で、男女問わずすべての医師が利用可能である。
 また、女性医師支援センターにおける再就業支援では、キャリア形成・継続の支援を目的に、講
習会開催や懇談会・託児サービスの普及推進および費用補助を行っている。

シンポジウム
〈座長〉三重県医師会理事 田中淳子先生
〈コメンテーター〉日本医師会副会長 角田 徹先生
1.「医師の働き方改革と三重県認証「女性が働きやすい医療機関」認証制度について」
〈三重県立総合医療センター院長 新保秀人先生〉
 当院は1948年に設立され、病床数419床の三次救急を行う急性期病院で、より高度な医療を実践
するために重要と考えられる「働き方改革」と「男女共同参画」を進めているところだ。働き方改
革の目標は、職員が働き続けたくなる病院づくりとした。
 院長直轄のチームを作って現状把握・課題認識・対策立案を行い、①入退館システム整備、②時
間外の把握、③28時間超連続勤務・9時間インターバルの把握、④研鑽の内容周知、⑤当直明けは
正午までに帰宅、⑥検討会や会議の開始時刻の見直しなどを実施した。
 当院は令和元年度に三重県認証「女性が働きやすい医療機関」認証を受け、令和4年度に再認証
を受けた。審査を受けるにあたって男女共同参画の意味や女性からの視点の大切さについて認識を
新たにした。

2.「男女平等に働ける工夫」
〈亀山医師会豊田クリニック 入山紀美子先生〉
 「三重医報」には、半世紀以上の私の女性医師生活で感じてきたことを正直に書いて投稿してい
る。以前は、女性は良妻賢母であることが何より大切であり、例え男性の10倍働いても中々認めて
もらえないという時代だった。結婚したら当然医師もやめるだろうと言われていた。
 人口の半分は女性だが、日本の医師の男女比は8:2と、女性医師数はまだまだ少ない。患者さ
んからも、婦人科検診などは女性の先生を希望する声を聞く。もっと女性医師数を増やす工夫がな
されることを期待したい。

3.「医師の働き方改革と男女共同参画~男性医師(夫、父)の立場から~ ~女性医師(妻、母)
の立場から~」
〈山形大学医学部眼科学講座 教授 杉本昌彦先生〉
〈三重大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学 准教授 杉本由香先生〉
 私たちは医学部の同級生夫婦である。それぞれが眼科医と血液内科医として、お互いのキャリア
アップとワークライフバランスの狭間に悩みながら医師を続けてきた。出産・育児・アメリカへの
研究留学の家族帯同などを経験する中で、それぞれがキャリアを続けていけるよう、一方だけが我
慢することのないよう心がけてきた。
 男女共同参画のさらなる推進を実践していくためには、託児所や短時間正規職務職員制度などの
ハード面の整備、育児や介護・家事へのサポート、業務内容の見直し、女性のみでなく全体を俯瞰
したアシストなどが必要である。

4.「女性医師のワークライフバランス」
〈三重大学医学部附属病院産婦人科 助教 金田倫子先生〉
 近年、女性医師数は増加傾向であり、産婦人科は43.4%と女性医師割合上位を占める。時間外労
働の多い科では女性医師は少ない傾向にあるが、産婦人科は女性を対象とする科であること・ワー
クライフバランスの確保が比較的なされていることから、女性医師が多いと考えられる。
 三重県産婦人科では、医局員の増員や県内の分娩取扱施設の集約化などによる人員確保、個々の
希望に沿ったキャリア形成ができる環境づくり、三重大学産婦人科医局でのクリニック開業などの
取り組みを実施している。

次期担当医師会会長挨拶
 久米川香川県医師会長より、令和6年4月27日(土)にJRホテルクレメント高松において開催す
る旨、挨拶があった。

閉 会