Joy!しろうさぎ通信『医師として働いた十数年を振り返って』

鳥取大学医学部附属病院 整形外科 武田知加子

 私は大学を卒業して初期臨床研修を終えたのち、2008年4月に整形外科へ入局しました。こんな私
でも整形外科医としてやっていけるか、大いに不安はありましたが整形外科分野に興味があるのであれ
ば大丈夫!といった諸先輩方のお言葉や同期の存在、医局の明るい雰囲気などが不安をかきけして入局
の一歩を踏み出しました。以後、特に最初のころは右も左もわからず多くの先生にご指導いただき、毎
日を一生懸命駆け抜けてきましたが、気がついたら医師になってから15年以上が経過しています。なる
べく他の医師へ迷惑をかけたくない一心で勤めてきましたが、実際はなかなか難しく、医局の皆様の理
解と配慮のおかげで、勤めさせていただいております。
 とくに、今は回数が減りましたが急に子供を保育園へ迎えに行く必要がある際は、上司が快く「行っ
ておいで」と言ってくださり、本当に助かります。また、子供の病気時には病児保育なしには勤務がで
きませんので、病児保育にも感謝・感謝です。毎日があっという間ですが、子育てと仕事の両立につい
ては、私自身は正直難しいと感じており、どちらも中途半端感が否めません。ですが、今できることを
最大限頑張ることの連続で続けています(最大限と書くと、やるべき仕事が溜まっていく一方であるこ
とや、子育てもダメ母と自覚することが多い現状であり、適切でないかもしれませんが……)。
 そんな経過の中で、皆さんにとっては当たり前かもしれない専門医取得でも私にとっては大変なこと
でしたが、なんとか取得する事ができました。整形外科専門医は2人目の妊娠中で、出産の1か月半前
に神戸まで行き、受験しました。大きなお腹で試験場での周囲の目も気になりましたが、幸い妊娠経過
が順調であったので、受験することができました。出産後、わりとすぐに合格発表がありましたが、永
島教授から合格を教えていただいたときの喜びはひとしおでした。リハビリテーション科の専門医は3
人目の子を出産後1年で受験しましたが、このときは試験勉強もですが申請のための書類作成(30症例
のサマリ)が大変で苦労しました。学会の準備等に追われて試験勉強が開始できたのも1か月前でした
ので、間近になると休日返上で勉強をさせてもらい、子供を含めた家族にも大変感謝しています。
 最近は、整形外科の中でも脊椎疾患を中心に診療させていただいています。こちらは執刀数が足りな
いので脊椎脊髄外科専門医取得にはもう少し時間がかかりそうですが、可能であれば専門医取得ができ
たらと考えています。10年ぐらい前には、女性整形外科医ということでびっくりされる患者さんに出会
うことも比較的多かった気がしますが、最近は女性医師も増えてきているためか、外来で驚かれること
がほとんどなくなりました。たまには、女性だから話しやすくてよいと言っていただけることもありま
す。2021年の医師国家試験合格者の女性比率は33.6%であったそうで、今後も女性医師の活躍が期待さ
れるかと思います。どんな分野でも、興味のある分野の勉強を重ねて、可能であれば専門医等の資格を
取得すること、またどんな勤務形態でも働き続けることが重要だと感じています。ライフイベントも加
わり、いろいろ悩み、仕事を辞めたいと思う時期はあるかもしれませんが、とくに若い女性医師の皆さ
んには、困難があっても周囲に相談し、少しずつ経験を重ねて活躍してほしいと思います。