Joy!しろうさぎ通信『お父さんの育児参加』
鳥取市 こどもクリニックふかざわ 深澤雅子
鳥取市の小児科クリニックで小児科医をしております、深澤です。僭越ながら、「Joy! しろうさ
ぎ通信」のコーナーに投稿させていただきます。
平成13年に、夫を院長として小児科の医院を開業し、ちょうど23年が経過しました。
この間に、世の中は男女共同参画社会を理想として、男性も女性も働きやすい社会へと向かって
きています。
私は、外の人と話をする機会が少ないため、その変化を語るのに、ふさわしい人間とは思えませ
ん。すみません。私がかかわりを持っているのは、小児科に子どもをつれてくるお父さんやお母さ
んくらいです。
最近、特にコロナ禍以降、子どもを受診させるために連れてくるお父さんが多くなった印象を受
けています。それで、最近1か月の間にお父さんが子どもを連れてきた家庭の率を調べてみました。
カルテを見て調べたので、どちらかわからない場合が19%ありました。わかった内で、両親が連
れてきた場合はお母さんにカウントしました。結果は、お父さんが20%、お母さんが76%、祖父母
、兄弟などのその他が4%でした。5人に一人は、お父さんが一人で連れてきているということで
しょうか。
昔のことについてはきちんと数を数えていたわけではないので、印象でしかないのですが、子ど
もを連れてくるのはほとんどお母さんで、そうでなければおばあさんが連れてきていたと思います。
お父さんが一人で子どもを連れてくることは、ごくまれでした(お父さんとおばあさんが連れてく
るという家庭はあったと思います)。
平成の初めのころは、週休2日制の職場が増えていく時期だったので、土曜日休みの人が徐々に
多くなっていきました。そのせいか、土曜日だけはお父さんが子どもを連れてくるという家庭が多
かったと思います。「土曜日はお父さんデーだね」と言い合っていたのを覚えているので。
しかし、連れてきたお父さんに「食欲はどうですか?」とか、「夜は寝ていましたか?」とか子
どもの家での様子を聞くと、「仕事で家にいないので、わかりません」と答えられることも多かっ
たと思います。そういう時は、「お父さん休みだから、子どもを病院に連れて行って」と頼まれて、
連れてきただけなのだろうなと思っていました。
その後20年くらいたって、今でも平日より土曜日のほうが、お父さんが連れてくる率が高いとい
う傾向はあります(土曜日のみでは父27%母73%)が、最近は平日でも、子どもが体調を崩した時
に、お父さんが保育園から呼び出されて迎えに行って、子どもを連れてきて、子どもの家での状態
を説明してくれることが、かなり増えました。職場もそれを許可していて、お父さんも家で子ども
の世話をしているということかと想像しています。
育児に参加して、子どものことをよく理解しているということは、お父さんにとっても、いいこ
となのではないでしょうか。育児を担っているという満足感をお父さんが感じられることは、男女
共同参画社会のもう一つのメリットだと思います。
仕事の事情も、家庭の事情も、人によって大きく違うと思います。それでも、お父さんの育児参
加が当たり前の家庭が少しずつ増えていることは、小児科を受診する家族からも、少しわかる気が
します。男女の差はなくなっている方向に向いていると、信じたいと思います。