Joy!しろうさぎ通信『すぎのこ保育所への愛を語る。』

米子市 魚谷眼科医院 三宅瞳

  とんでもないことが起きてしまいました。
 医師が幼い子供を育てながら働く上で何よりも大切な存在があります。それはずばり保育所で
す。当たり前ですが、子供を預けないと仕事はできません。そして親にとっては、まだ小さな我
が子を他人に預けて離れるということは、想像以上に不安だし心配だし、とてもストレスのかか
ることなのです。というわけで、信頼できる保育所に入れるかどうかは、子育て世代が仕事を続
けていく上で最も大事なポイントです。
 私自身は現在8、6、4歳の三姉妹の母ですが、長女が生後5ヶ月の頃から、大学病院の院内
保育所であるすぎのこ保育所に子供を預けて仕事を続けてきました。このすぎのこ保育所が、実
に素晴らしかった。すぎのこ保育所は、外部の保育施設運営会社が、大学に委託され経営してい
ます。大学病院の職員駐車場の奥にあり、生後43日から就学前まで預かってもらえます。親であ
る職員は毎朝通勤がてら子供達を預けることができ、何かあればすぐ駆けつけることができます。
子供達は、天気が良いと隣の湊山公園へ出かけ、遊具や芝生で遊んだり、お散歩しながら四季折
々の植物や生き物に触れたりして、のびのびと過ごすことができます。公園の出入口は保育所の
すぐ横にあるので、すぎのこの子供達にとって湊山公園はほぼ庭みたいなもんです。
 また、24時間365日体制なので、夜勤や当直などの勤務にも十分対応してもらえます。私は夜
の業務を免除してもらう代わりに土日の日勤帯に待機業務をしており、その時は保育所を利用し
て子供達を預けていました。夕食を園で食べさせてもらうこともできるため、医局会などで遅く
なる時は、夕食をお願いして20時頃迎えに行ったりもしていました。有り難いことにうちの子達
は保育所大好きだったので、夕食や土日の保育も「やったー!」と喜んでくれるくらいだったの
で、とても助かりました。
 そして何よりも1番素晴らしかったのは、先生方です。すぎのこの先生方は、皆優しく、子供
達への愛で溢れた人たちばかりでした。特別難しいことを教えたりしませんが、子供を健やかに
育てることへのプロ意識が高く、0歳の赤ちゃんにも絵の具や筆を持たせて製作をさせたり、日
々の遊びを通してお友達と協力することや何かに挑戦することを学ばせたり、大きいクラスにな
ると自分たちで育てた野菜をクッキングしたり、なかなか家で親だけでは出来ないような体験も、
沢山させてくれました。生活習慣面でも、何せ0歳からいるもんですから、自分で靴をはく、着
替える、歯磨きをする、脱いだ服を畳む、お箸を使う、トイレトレーニング……など、うちの子
達は基本的な生活習慣は全て保育所で教わりました。(家庭だけでは到底教えられませんでした
……)子供達は家族のように先生方を慕っており、そんな先生方を私も心から頼りにしていまし
た。ここにいれば子供達は絶対大丈夫という安心感があったからこそ、夜遅くまでの仕事や土日
の勤務を続けられたし、子持ちの母とは思えないほど十分なキャリアを積ませてもらえました。
こんなに素晴らしい保育所が整っているなんて、さすが鳥大病院だなと、とても誇らしく思って
いました。とにかく私は、すぎのこ保育所が、先生方のことが大好きだったのです。
 ところが、です。今年の3月末をもって、保育所の経営が別の会社に変わることになってしま
い、この素晴らしいすぎのこ保育所の先生方は3月末をもって全員退職されてしまいました。先
生方は前会社の所属なので、会社が変わるんだから当然といえば当然ですが、あの先生方あって
のすぎのこ保育所だったので、本当に残念でなりません。すぎのこの経営は元々3年毎の入札で
決められているようなのですが、少なくとも私が子供達を預けていた8年間にはなかったことな
ので、まさに晴天の霹靂でした。今のすぎのこ保育所は新しい会社が運営していますが、会社が
変われば先生も保育理念も変わり、今までのような最高の保育は少なくとも軌道にのるまでは望
めないでしょう。そしてこの会社も何年かしたらきっとまた別会社にかわるのでしょう。そんな
運営母体が安定しないような保育所では、親も安心して働けません。せっかく素晴らしい保育施
設があるのに、とても勿体ないことだと思います。
 今まで私は子育て環境に恵まれて過ごしてきたと有難く思っていましたが、やはりまだまだ働
く親が子育てと仕事を両立していくには、ふいに思わぬハードルが出てくるものだなと、世の中
の不条理さに憤りを感じた春でした。