Joy!しろうさぎ通信『「鳥取県医師復帰支援システム」について』

前鳥取大学医学部附属病院ワークライフバランス支援センター 副センター長
現鳥取大学医学部附属病院卒後臨床研修センター 副センター長
山 田 七 子

「鳥取県医師復帰支援システム」は、鳥取大学医学部附属病院ワークライフバランス支援センターと鳥取県の連携事業として、平成24年4月1日にスタートしました。この事業は、1)育児、介護等で一度離職した医師がスムーズに復職し、継続することができるようサポートする。2)結婚・出産・育児等の人生のターニングポイントにおいても、離職することなく、医師がモチベーションを持って就業を継続することができるようにする。3)有限な人材を地域医療の有効な担い手として育む。ことを目的とし、出産・育児・介護等によって現場を離れ、鳥取県内の医療機関で復職を希望する医師を対象としています。

本システムは、復職を希望する医師に対して「復帰研修実施医療機関」での個別の復帰研修プログラムを調整し、提供します。「復帰研修実施医療機関」は、鳥取大学医学部附属病院、鳥取県立中央病院、鳥取県立厚生病院で、鳥取県東部・中部・西部での研修が可能となります。復帰研修修了後は、復帰研修プログラム実施医療機関を含む県内の医療機関での勤務を目指します。さらに、本システムでは、仕事と家庭の両立に配慮し、医師がステップアップできる勤務環境を提供できる医療機関を「復職支援協力医療機関」として広く募集し、希望者にはその情報を県の無料職業紹介事業を通じて提供します。

復帰研修プログラムは、鳥取県立中央病院と鳥取県立厚生病院では「専門診療科研修プログラム」、鳥取大学医学部附属病院では「A.シミュレーショントレーニング」、「B.専門診療科研修プログラム」、「C.一般内科研修プログラム」の選択が可能です。最終的な受け入れについては、各復帰研修プログラム実施医療機関と相談の上、決定されます。

システム稼働から1年9ヵ月が経過した「鳥取県医師復帰支援システム」について、平成25年12月5日に鳥取大学医学部附属病院で開催された平成25年度「医療の現場を元気にする鳥取県女性医師の会」において実施報告をさせていただきました。当日は出席者30名で、女性医師10名、医学科生2名、その他、鳥取県立中央病院、鳥取県立厚生病院、西部医師会、鳥取市立病院、西伯病院、鳥取県他から多数のご参加をいただきました。

医師復帰支援システムの現在までのエントリー状況は、平成24年度の新規エントリーが鳥取県立中央病院で1名、鳥取大学医学部附属病院で1名、鳥取大学医学部附属病院でのシミュレーショントレーニング参加は1名でした。平成25年度は、11月末までで鳥取大学医学部附属病院で3名、シミュレーショントレーニング参加が2名でした。

会の中で、復職実施医療機関からシステムの利用状況も報告され、鳥取県立中央病院日野理彦病院長からは、本システム利用状況だけでなく、通常勤務での復帰事例についてもご紹介いただきました。また、鳥取大学医学部附属病院からは、本システムを利用して復帰した女性医師による報告が行われ、子育て中の女性医師がおかれる現状や周囲の理解について、率直で、真摯な意見の交換が行われました。

参加者へのアンケートでは、「離職をしなくても働き続けられるシステムや環境の確保が必要」「子育てとの両立は大切なことだと思うようになった」「自分と同じように悩んでいる女性の先生達がいるんだなあと励みになりました」「様々な世代の女性医師の具体的な話を聞けてよかった」など多数のご意見をいただきました。

今後、本システムの周知をさらにすすめるとともに、鳥取県全体での復職支援の推進、「離職しなくてもよい環境作り」への取組みが必要と考えます。

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