平成14年7月15日

平成14年度 No.2

 

目   次

 

 

 生保指導における指摘事項について

 

Ⅱ 入院料における「医療安全管理体制」及び「褥瘡対策」について

 

 

 

 

 生保指導における指摘事項について

 

平成13年度、鳥取県福祉保健部福祉保健課が実施した「生活保護法による指定医療機関個別指導」において指摘された事項を掲載しますので、日常診療の参考にして下さい。

 

 

1.診療録の記載に係る事項(一般科)

 

(1)病名が多く、整理すること。中止、治癒、古い病名は整理していただきたい。

 

(2)病状経過の記載が不備である。検査、治療が行なわれているにもかかわらず、症状経過の記載がない。

 

(3)処方に対する病名がない。

 

(4)指導内容、転帰が記載されていない。

 

(5)入院時病名が記載されていない。入院カルテに病名が見当たらない。

 

(6)主訴、現病歴、全身所見の記載がない。医師は診察したときは遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければないない(医師法第24条)。

防衛医療の問題になるが、記載がなければ証拠にならない。

 

2.診療報酬請求に係る事項(一般科)

 

(1)カルテとレセプトの病名が一致していない。

 

 

3.精神科に係る事項

 

(1)精神保健福祉法では、隔離・拘束に関してのお知らせの告知とその文書を本人に渡す努力義務があるが、多くの病院でその努力がなされていなかった。

 

(2)当該病名がないのに診療報酬が請求されている。

 

(3)精神科作業療法の基準(施設基準・カルテへの要点の記載など)を満たしていないのに老人レクレーションにて精神科作業療法を請求していた例があった。

 

(4)任意入院者は開放処遇が原則ですが、任意入院の同意はあっても、閉鎖処遇の同意を得ぬまま閉鎖病棟へ入棟させていた例があった。

 

(5)レセプトの病名とカルテの病名が一致していない例があった。

 

(6)通院精神療法・入院精神療法・精神科作業療法の要点の記載がない例があった。

 

(7)長期にわたり状態像が、病名として記載されていた例があった。

 

(8)主傷病の整理が不十分で、主傷病が何かわからない例があった。

 

(9)隔離・拘束に関して状態像・隔離理由・隔離時間・隔離を指示した医師の氏名など精神保健福祉法上、必要な事項の記載が不十分な例があった。


平成14年度生活保護法による指定医療機関個別指導実施計画

鳥取県福祉保健部福祉保健課

1 目的

被保護者の処遇の向上と自立助長に資するため、法による医療の給付が適正に行われるよう制度の趣旨、医療扶助に関する事務取扱等の周知徹底を図ることを目的とする。

2 対象医療機関

病院:14施設

3 対象医療機関の選定基準

(1)委託患者が比較的多い病院及び診療所

(2)個別指導未実施又は前回の実施から一定期間経過している病院及び診療所

(3)長期に渡る委託患者が比較的多い病院及び診療所

(4)診療報酬の知事審査結果及び福祉事務所の業務において、指導の必要があると認めた病院及び診療所

4 検査及び指導事項

(1)生活保護制度の趣旨及び医療扶助に関する事務等の理解の状況

(2)診療報酬請求の適否

(3)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、結核予防法等他法活用の状況

(4)保護の実施機関に対する協力の状況

(5)診療録の記載及び保存の状況

(6)診療内容からみた診療報酬明細書と医療要否意見書の適否

(7)長期入院、長期外来患者に対する療養指導の状況

(8)入院患者日用品費の状況

5 指導の方法

(1)原則として、病院は実地指導とし、診療所は集合指導とする。

(2)事務及び診療の状況については、診療録により懇談指導する。

(3)患者処遇については、事前に福祉事務所から医療機関に連絡の上、別添検討票により福祉事務所職員も加えて問題点の解決を図るよう懇談協議する。

6 個別指導に従事する職員

福祉保健課に勤務する生活保護指導職員、嘱託医及び診療報酬明細書審査事務担当者とする。また、必要に応じて郡部福祉事務所嘱託医も従事し、各福祉事務所職員の協力を得て行うものとする。

7 その他

(1)各月の実施予定医療機関は、その都度県医師会と協議の上決定する。

(2)個別指導は、県医師会及び福祉事務所の協力を得て行う。


Ⅱ 入院料における「医療安全管理体制」及び「褥瘡対策」について

 

 

平成14年4月の診療報酬改定において、入院料・特定入院料の算定にあたり、従来の「入院診療計画未実施減算」「院内感染防止対策未実施減算」に加え、医療安全管理体制・褥瘡対策の基準が新設され、未整備・未実施の医療機関については、10月1日から全ての患者について次のとおり減算されます。

 

* 医療安全管理体制未整備減算[1日につき] 10点

* 褥瘡対策未実施減算    [1日につき]  5点

 

入院料等を算定する医療機関におかれては、体制整備をした上で、平成14年9月1日から平成14年10月16日までの間に、鳥取社会保険事務局長宛に届け出をしてください。

平成14年10月31日までに受理されたものについては、10月1日に遡って減算せずに入院料を算定できます。

 

【参考】

医療安全管理体制基準

① 安全対策のための指針整備(基本的な考え方、医療事故発生時の対応方法等の文書化)

② 医療事故等の院内報告制度の整備(医療事故等の報告と分析を通した改善策の実施)

③ 安全管理のための委員会の開催(安全管理の責任者等で構成され、月1回程度開催)

④ 職員研修実施(研修計画に基づき年2回程度実施)

 

褥瘡対策基準

① 褥瘡対策にかかわる専任の医師、看護師からなる褥瘡対策チーム設置

② 日常生活の自立度が低い患者について褥瘡に関する診療計画を作成、褥瘡対策を実施

③ 体圧分散式マットレス等の適切な選択、使用体制整備

 

詳しいことは、「医科点数表の解釈」(平成14年4月版 社会保険研究所)の47~50頁を、届出様式等については867頁、898~899頁をご覧ください。

 

 

[届出先]

鳥取社会保険事務局 保険課

680-0022  鳥取市西町1丁目210   電話0857-39-1173