平成11年6月1日
平成11年度 No.1

目 次

I保険薬局からの疑義照会について
II類型区分別1件あたり平均点数(鳥取県)について



I保険薬局からの疑義照会について

 昨年の保険薬局に対する厚生省と鳥取県との共同指導で、下記の事項が指摘されております。
 特に「疑義照会しないで調剤した」ということで、薬局側に対して、必ず、医療機関へ疑義照会するようにとの指導がなされております。
 指摘事項の8の各項目は、医療機関で留意すべき点と思われますが、薬局からの疑義照会に対し、御協力の程、よろしくお願い致します。

保険薬局に対する厚生省及び鳥取県との共同指導における指摘事例

1.処方箋の処方欄の記載に不備があるにもかかわらずそのまま調剤している。
  ・保険上使用が認められない医薬品が処方されているもの
  ・薬価基準に収載されていない医薬品など

2.認められない長期投薬が処方されているもの
  例1:次のような医薬品の15日以上の投与
      ・ハルシオン錠(催眠剤)
      ・ケフラールカプセル(抗生物質)
      ・ツムラ小柴胡湯エキス顆粒(藻方エキス剤)
      ・ピタメジンカプセル(混合ビタミン剤)
 例2:長期投薬が認められない医薬品の倍量投与
      ・ツムラ柴令湯エキス顆粒 18g分6 1日6回食前及び食間14日分
  ※処方医から患者への口頭指示は、9g分3 食前又は食間28日分。

3.複数の規格単位がある医薬品について規格単位の記載もれのもの
  例:アダラートL錠2錠 1日2回朝夕食後14日分
  ※アダラートL錠には薬価基準上、10mg、20mgの2種類の規格単位がある。正しくはアダラートL(10mg)2錠 1日2回朝夕食後14日分。

4.服用時点などの記載もれのもの
  例:グリミクロン錠2錠 1日2回分服14日分
  ※服用時点及びそれぞれの時点での服用量が指示されていない。正しくはグリミクロン錠2錠 1日2回朝夕食後(食前)14日分。

5.約束処方、略号により記載されているもの
  例:〔略号〕       〔正 式 名〕
     №1    → ツムラ葛根湯エキス精粒(医療用)
     トローチ → 複合トローチ明治
     AP2   → キョーリンAP2顆粒
     MGII   → 院内約束処方
     R1軟膏 → 院内製剤用の略語

6.経緯が明らかでない訂正があるもの
  ・訂正印のない修正、処方医以外の者による疑いのある加筆修正など。
  ・訂正印と処方医の印が異なっているもの。

7.麻薬を含む処方箋で患者の住所、あるいは麻薬施用者の免許証の番号の記載もれがあるにもかかわらず調剤しているもの

8.疑義照会の必要があるにもかかわらず、照会しないまま調剤している
(1)適用外投与されているもの
   例:内服薬を軟膏として使用
     注射薬を点眼剤として使用
  ※薬価基準に収載されている医薬品を使用する場合であっても、承認事項以外の使用は認められない。

(2)服用量が常用量を超えているもの
   例:ハルシオン錠(0.25mg)3錠 1日1回就寝前投与14日分
  ※ハルシオン錠の1日最大投与量は 0.5mg(高齢者には0.25mg)。
(3)禁忌例への投与が疑われるもの
   例1:ガスター錠(20mg)2錠 1日2回朝食後と就寝前
      ボルタレンサポ(50mg)2個 1日2回朝夕14日分
  ※ガスターは消化性潰瘍治療薬であるが、ボルタレンは内服、坐剤とも潰瘍患者に対して禁忌である。
   例2:ノイキノン錠(10mg)3錠
      リスモダンカプセル(100mg)3カプセル1日3回毎食後
  ※ノイキノンの効能・効果は「基礎治療進行中の軽度~中度等のうっ血性心不全」であるが、リスモダンはうっ血性心不全患者に対して禁忌である。

(4)相互作用が考えられるもの
   例1:処方1 a.メチエフ10倍散 0.6mg
           b.メジコン散 0.6g
           c.アストミン錠3錠
      処方2 d.フラベリック錠3錠
            e.アスベリン錠(10mg)6錠
  ※処方1、2においてa~eの医薬品は4つとも鎮咳剤であり、作用を増強させる恐れがある。
   例2:テオドール錠(200mg)2錠
      タガメット錠(200mg)2錠 1日2回朝食後と就寝前
  ※シメチジンはテオフイリンの代謝、排泄を遅延させ、血中濃度を高めるため併用した場合には減量するなど慎重に投与することとなっている。

(5)漫然と長期投薬されているもの
   例1:オメプラール錠の8週間を超える連続投与
  ※オメプラールの承認されている投与期間は、十二指腸潰瘍には6週まで、胃潰瘍等には8週までである。
   例2:アローゼンの年余にわたる連続投与
  ※センナエキス・センノシド緩下剤については、連用による耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになるおそれがあるので長期連用を避けるべきとされている。

(6)同種同効薬が2種類以上処方されている場合
   例えば、Ca拮抗剤が2種類処方されている場合等。

(7)外用薬の用法の指示がない場合
   処方箋に用法口授の記載があれば、疑義照会は行いません。

II類型区分別1件あたり平均点数(鳥取県)について

 平成11年度の指導対象医療機関選定のための基礎数値としての診療所・病院の類型区分別1件当たりの平均点数が示されましたので、お知らせ致します。
 算定された数値は、平成10年度中の、任意の月の健保本人4か月分、健保家族4か月分、国保老人4か月分の平均値により算出されたものであります。

(1)病院(入院分)
       ・一般病院      34,199点
       ・老人病院      36,141点
       ・精神病院      30,926点
       ・特定機能病院等  45,724点


(2)診療所(入院外分)
       ・内科       1,478点(呼吸器、消化器科、循環器科、アレルギー科、リウマチ科を含む)
       ・透析      17,390点(主として人工透析を行うもの)
       ・精神、神経科 1,094点(神経内科、心療内科を含む)
       ・小児科       986点
       ・外科       1,470点(肛門科、、麻酔科を含む)
       ・整形外科   1,151点(リハビリテーション科、放射線科を含む)
       ・皮膚科      610点(形成外科、美容外科を含む)
       ・泌尿器科    1,817点(性病科を含む)
       ・産婦人科      902点
       ・眼科        705点
       ・耳鼻咽喉科     810点(気管食道科を含む)

【県医注】 上記の平均点数×1.2以上の医療機関(病院は平均点数×1.1以上)のうち、類型区分別医療機関数の8%が集団的個別指導の対象となります。