Joy!しろうさぎ通信『東京から鳥取へ移住してみたら』

鳥取赤十字病院 小児科 田中裕子

 昨年4月より鳥取赤十字病院小児科に勤務している田中裕子と申します。このたびは寄稿の機会
をいただき、ありがとうございます。
 私は家族とともに、2年前に東京の千代田区から、夫の故郷である鳥取市へ移住してきました。
私自身は母の実家がある丹波篠山で生まれましたが、東京で育ち、これまで鳥取とはあまり縁のな
い生活をしてきました。順天堂大学を卒業後、母校の小児科へ入局し、医局の先輩だった夫と結婚
しました。仕事の関係で静岡や長野に2年ほど滞在したことはあるものの、本格的な地方移住は初
めての経験でした。
 移住にあたり、いろいろと不安はありました。地域に馴染めるのだろうか、仕事はうまくいくだ
ろうか(引っ越し直前に妊娠が発覚したため、そもそも雇ってくれる病院があるのか)、久しぶり
の車の運転は危なくないだろうか、わからない方言があったらどうしよう……などなど。なかでも
一番心配だったのが、3人の子どもたちの転校や転園です。当時、長男は小学2年生、長女と次男
は保育園児でした。これまで築いてきた友人関係から離れ、新たな友達づくりを始めるなんて、私
にだって難しいのに、子どもたちにできるのだろうか。そんな不安な気持ちを抱えたまま、鳥取へ
引っ越してきました。
 しかし、私の心配をよそに、子どもたちはすぐに学校や園に慣れていきました。とてもありがた
かったのは、周りの子どもたちが親切に接してくれたことです。転校して数日たったころ、「学校
どう? 大丈夫?」と長男に聞くと、「こっちの子たち、みんな優しいよ!」と笑顔で答えてくれ
たことが、今でも印象に残っています。
 今後、都心から鳥取へ移住する方がこの文章をご覧になるかもしれませんので、参考になりそう
なことをいくつか挙げてみます(すべて個人の感想です)。
■車の運転はわりとしやすい
 駐車場は都内に比べて豊富にあり、1台分の駐車スペースも広めです。通勤時の渋滞もそれほど
ひどくありません。優しいドライバーが多く、右折のタイミングが難しいときに対向車が待ってく
れたり、前の車が青信号に変わったことに気づいていなくても、クラクションを鳴らさず静かに
待っていたりする場面をよく見かけます。
 ただ、なぜかウィンカーを出すタイミングは遅いです。
■雪を甘く見てはいけない
 思った以上に雪が積もります。都心では1㎝積もっただけでも大騒ぎですが、鳥取では数十㎝積
もることがあります。子どもたちが雪遊びを楽しむ傍らで、大人は腰痛と戦いながら雪かきをして
います。地元の方々は雪に慣れていますが、さすがに大雪の日に、ふらふらしながら自転車をこい
でいるご年配の方を見たときは驚きました。
■空が広い
 鳥取に住んでいる方が意識することは少ないかもしれませんが、都心から鳥取に来ると、空の広
さを実感します。開放感を感じると同時に、都会で高い建物に囲まれて生活していると、知らず知
らずのうちに圧迫感を感じていたのかな、と思うようになりました。晴れている日の夜は星もたく
さん見えます。
■子どもが子どもらしくいられる
 人混みの中で生活していると、子どもを静かにさせなくてはならなかったり、歩くペースを周り
に合わせる必要があったり、他人の邪魔にならないように動いたりと、大人と同じようなルールを
求められる場面が多かったように思います。私も「静かに」「急いで」を口癖のように使っていまし
た。
 もちろん鳥取でも同じような場面はありますが、人は少なく、道は広く、車での移動も多いた
め、子どもに大人のルールを課す頻度が減ったと感じています。
■言葉の壁は厚くない
 鳥取弁は語尾やアクセントが標準語と少し違う程度で、リスニングにはそれほど困りません。移
住して間もないころは、「しんどい」という意味の「えらい」を「偉い」だと勘違いし、一人で混
乱していたこともありましたが、それも覚えました。鳥取弁を流暢に話せるようになるには、もう
少し時間がかかりそうです。
 というわけで、移住して2年。周囲の方々に温かく支えていただきながら、今のところ特に不自
由なく生活できています。
 もし周りに、鳥取へ移住しようか迷っている方がいらっしゃいましたら、「まあ、大丈夫みたい
だよ」と太鼓判を押してあげてください。