Joy!しろうさぎ通信『地域×総合診療×WLB』
智頭病院 内科 竹安つばさ
県東部の中山間地・智頭町の99床の病院で総合診療専攻医をしています。卒後5年目で赴任し、
この4月で勤続5年目になりました。医師としてのキャリアのほぼ半分を当院で過ごしていること
になりますが、そのうち1年9ヶ月は産前産後休暇・育児休暇です。復帰してからも時短勤務をし
ています。
総合診療は、新専門医制度における19番目の基本領域です。特定の臓器や疾患に限定せず、幅広
い健康問題に対応しながら、患者の生活背景や家族、地域との関わりも含めて診療することを専門
性の一つとしています。臓器別の専門診療がそれぞれの領域を深く掘り下げていく一方で、総合診
療では複数の健康問題を横断的に捉え、患者・家族・地域・社会へと視野を広げていきます。専攻
医は急性期病院からプライマリ・ケアを提供する医療機関まで幅広く研修する必要があり、私もそ
の一環で智頭病院に赴任しました。産育休や時短勤務のためプログラムを延長し、今日に至ります。
鳥取大学のプログラムなので、研修拠点は基本的に県西部にあります。新しい分野のため指導医
の数も多くなく、県東部の中山間地の当院には常勤の指導医がいません。ですが、プログラム内の
提携施設であれば基本的にどこでも研修できるようになっており、私もリモートを駆使して専攻医
を続けられています。とはいえ、産休や長期の育休を取る専攻医が初めてな上に、1人だけ遠方で
研修しているため、迷惑を掛ける場面も多く心苦しく思うこともあるのですが、それでもサポート
していただいている指導医の皆様には感謝しかありません。できるだけ早く卒業しなければと思い
つつも、子育てをしているとまとまった「自分時間」を作れないので、隙間を見つけて少しずつ勉
強しています。
研修先が智頭病院でよかったと思う理由の一つに、育児と両立しやすいことがあります。意外に
思われるかもしれませんが、実は院内保育所も病児保育もあります。内科に同世代の派遣医師が多
いので急な予定変更でも理解も得やすく、他のスタッフも何かと気にかけて下さいます。急性期病
院よりはゆったりとした環境な上、総合診療のキャリアも積めるので、とてもありがたい環境です。
ちなみに、夫は行政医です。派遣医師として地域の病院を回った経験もあり、かつ公衆衛生と総
合診療は被る部分も多いので、私の仕事内容への理解も深く、とても助かっています。働き方は一
般的な公務員と同じなので帰る時間が事前に分かるのも非常にありがたく、何なら私より料理も子
どもの相手も上手です。夫は公私にわたるパートナー、相棒のような存在です。心身ともにサポー
トしてくれる理解者が近くにいるのも恵まれているな、と思います。
今回、この寄稿のお話をいただいて、職場復帰後のWLBについて改めて振り返りましたが、ま
わりの人と環境のおかげで今の生活が成り立っていることを実感しています。その一方で、この良
い環境でも仕事・研修・家庭が上手に回せているとは言い難く、悩むことも多い日々です。手探り
の毎日ですが、WLBは千差万別、100人いれば100通りの方法があるはずで、あえてロールモデル
を探して倣うのではなく、自分なりに安定できるバランスを見つけていければいいなと思っていま
す。まだまだいろいろなことを模索中ですが、鳥取のすみっこでひっそりとやっておりますので、
暖かく見守っていただけると嬉しいです。