Joy!しろうさぎ通信『見よう見まねで』

鳥取赤十字病院 研修医 髙田万理恵

 鳥取県医師会の皆様へ、初めまして。2024年度に鳥取大学を卒業し、現在研修医1年目として鳥
取赤十字病院に勤務している髙田と申します。はじめは右も左もわからぬままがむしゃらに目の前
のことをこなしていましたが、年度末が近づくにつれ3年目以降に向けて自分に足りないものは何
かと焦りのような感覚に背を追われ始めてきました。
 そのような中、この度しろうさぎ通信へ寄稿する機会をいただきました。今回は自分が1年を通
して得た経験についてお話しします。
 私には学生の時分より10年来の親友たちがいます。そのうち一人が営業職としてのスキルを磨く
べく、日々を振り返り自身の足りない点を指摘してもらうという会を開いていました。ある時、顧
客とのコミュニケーション能力を改善したいという話題に対し意見を求められ、特になんの気もな
くラポール構築というものを紹介しました。ただ私も学術的に定義を理解していたわけでなく、た
だ聞きかじったままの『二者間の間に築かれる信頼関係』と説明しました。例えば初診で会う患者
さんに対して行う挨拶や自己紹介、言ってしまえば当たり前のことを意識しているよ、などと話し
たことを覚えています。
 すると中々興味深い反応が来ました。どうにもラポールというものはビジネスを含む多くの場で
も重要な概念なのだとか。
 この際だから、と後日改めて調べてみました。まずラポール(rapport)とはフランス語で架け
橋の意で、カウンセリングを成功させる上で重要視されている概念です。ラポール構築には、カウ
ンセリングの基本的態度(純粋性、受容的態度、共感的理解)が重要であるとされています。平た
く言うと、聞き手が肩肘張らずに、相手を尊重しながら、その考えを可能な限り正確に把握しよう
とするべきだということです。この具体的な技法として視線を合わせるだとか、声の質や話のス
ピードに配慮するといった、『傾聴』としてのテクニックが広く知られています。
 医学生の時に医療面接についての教えはしっかりと受けましたが、いざ日当直の場に立たされる
と驚くほど口が回らなかった6月のことは記憶に新しいです。それからはとにかく型を身に着けよ
うとしました。ひたすら上級医の先生のICに同席したり、あるいは口調をそっくりまねて話すな
ど、気が付けば十二分とはいかないまでも臆せず診療や説明に臨めるようになりました。
 先日、ACPに関するWebセミナーを受講しました。DNARを含む患者の意思決定を支援するために
医療チームができることについて、他院の研修医と話し合うなかで、ACPが今まで培ってきたコミュ
ニケーションスキルの上に成り立つものであると感じとりました。これからも日々の診療において、
一つ一つの説明が将来の技術の先駆けとなることを意識しつつ、2年目の研修も頑張りたいと考え
ています。